かつて私がデザイン会社をやっていたときのこと。
担当していた月刊誌の仕事が連続で無くなり、
業績が悪化したことがあった。
それを立て直すために開発したのが、TFTアポ取り法だ。
それまでは、アポ取りの仕事と言ったら、
営業マンがやるものだった。
しかも、かなり苦労しながら。
ところがこのTFTアポ取り法は、
電話をかけるときのプレッシャーがない。
そのうえ誰でも簡単にできるものだった。
そこで、実際にアポ取りの作業を分業していた。
アシスタント(しかも制作アシスタント)と私とで、
担当を分けながら行っていたのだ。
詳細は、ここでは書かないが、
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以前から営業を分業することをやっていた。
そして、分業したとき思ったのは、
ツライ仕事でも誰かと一緒にやるとラクになるということ。
私の尊敬する営業コンサルタントの吉見範一さんも、
営業は2人で行きなさいと言っている。
それは、営業効率の面もあるが、
精神的な効果も大きいと思う。
そう、何もひとりですべてを抱え込んで、
もんもんと頑張らなくてもいいのだ。
営業というとどうしてもひとりで行う仕事のように思われているが、
そんなの関係ない。
で、私が言いたいのは、
複数で同時にやれというのではなく、
時間差で同じお客さまのところへ行ったらどうかということである。
例えば、営業にはヒアリングという部分がある。
このヒアリングを専門職にしてしまうのだ。
とにかく情報を引き出すだけの営業マン。
だから売ることはない。
もっと言うと売ってはいけないレベルまで徹底する。
そうすると、どうなるか。
いかに相手から正確な情報を引き出すかに特化した行動になるのだ。
売り込みのニオイなどさせたら相手は警戒する。
売ってはいけないので、売ることは考えなくていい。
すると、自然に売り込み臭がなくなって、
効果的なヒアリングができるようになる。
これが、ヒアリング専門職の強みだ。
お客さま側も、ヒアリング担当だと言えば、
売り込まれる心配もないので、警戒しないようになる。
結果として、お互いにスムーズに話ができるのだ。
こんな感じで分けてみると、
・新規アポ取り
・ヒアリング
・プレゼンテーション&クロージング
・アフターフォロー
・クレーム処理
などは分類できるものだ。
専門職化すると、それぞれのスキルが上がる。
営業の精度が上がり、ミスが少なくなるのだ。
お互いの役割を認識して、
お客さまの情報を共有していれば、
お客さまに嫌がられることもない。
複数の担当者がいることをお客さまが嫌うのは、
情報共有がされていない場合だ。
きちんと共有されていれば問題ない。
じつはこの考え方は私のものではない。
参考書がある。
『売り込まなくても売れる!-説得いらずの高確率セールス』
< http://amazon.co.jp/o/ASIN/4894511371/pictworkscom-22/ref=nosim >
2002年の本だが、
これを読んでTFTを思いついたという経緯がある。
タイトルがちょっとうさん臭い感じがするが、
内容は硬派である。
口先で売り込めというものではなく、
信頼関係を築くためにはどうすべきかというもの。
まさに私がいま口ぐせのように言っていることだ。
これはアメリカの本だが、
これをそのまま日本に持ち込むことは正直に言うと難しい。
やはりアレンジが必要だ。
ただ、この考え方は大いに参考になるものだし、
営業マンには読んでおいて欲しい本である。
話を戻そう。
分業は決して夢の話ではない。
相手の話をじっくりと聞くのが得意な人なら、
ヒアリング係として向いている。
アポ取りやプレゼンなど、
それぞれ適任者がやれば効率もいい。
やはり営業というのは、いろんな場面があるので、
その都度役割を変えていく必要がある。
それができる人なら分業することもないが、
すべてを高レベルで行える人も限られてくる。
理想的な営業スタイルは、やることを細分化して、
それぞれを作業レベルで行うことだ。
その作業も悩んだり迷ったりする時間をできるだけ減らし、
最終的には無意識的にできるようになることである。
歯を磨くときに、
最初は奥から2本目の歯を25度の角度で……
などと考えたりはしないだろう。
そこは無意識にやっているはずだ。
営業も、このような作業時間を増やすことが理想である。
自分の営業を分解してみて、
作業レベルでできるものをどんどん増やしてみよう。
そうすれば、時間をかけるべきところに集中できるようになる。
おわり。