さて、企画書の書き方の話をする。
だがその前に、これは我流ではないことを言っておく。
もとは人から教わったものなのだ。
きっかけは1通のメール。
私の書いていたメルマガを読んで提案してきた。
「このメルマガを本にしたいと思いませんか?」
出版コンサルの人からのメールだった。
私は、まさに「本にしたい!」と思っていたので、
ニーズはバリバリだった。
そこで実際に話を聞いてみて、
お願いすることに決めた。
料金がリーズナブルだったのもあった。
やはり、その道のプロに教わっておきたいという気持ちもあった。
コンサルを受けたのはその一回だけで、
あとはすべて自己流でやることになった。
基本パターンは、
1)タイトル案
2)概要
3)ターゲット
4)類似書
5)目次案
6)サンプル原稿
7)著者プロフィール
で構成されている。
ひとつずつ見ていこう。
1)タイトル案は、ずばり本のタイトル案だ。
タイトルは最終的には出版社サイドが決める。
本は出版社の商品であり、その顔がタイトルなのだから、
当然、決める権利は出版社だ。
ただ、著者の案も無下にはしない。
その意味では、著者としてのタイトルを提案する感じになる。
これは、2~3案出すこともある。
また、サブタイトルなどの案も同時に出すこともある。
いずれにしても、これで決定するものではないので、
そこそこ気軽に、そして大胆な案にしてもいい。
2)概要は、この本を出すにあたっての背景と、内容の特徴を伝える部分。
じつはこの部分は、
実際に本になったときの「はじめに」に引用されることが多い。
なので、はじめにのつもりで書くのもアリだ。
ただし、読み手はあくまでも出版社側の人たちなので、
本の良さだけではなく、「売れそうか」どうかも伝えるといいだろう。
たとえば、PRできるリストが3万人いるとか、
メルマガ読者が5000人いるとかである。
どんなに素晴らしい内容だとしても、
売れそうでなければ商品にはならない。
売れそうだと思わせるデータや裏付けなどがあると、
より通りやすくなるだろう。
文字の分量としては、私の場合は、A4用紙に半分~4分の1くらいの感じ。
あまり多すぎても読みづらいし伝わりにくい。
一度ざっと書いてみてから、削っていく作業が必須だ。
3)ターゲットは、どんな人が買うかというもの。
単に若者向けとか女性向けとかでは、絞り切れていない。
私の場合だと、
・しゃべりが苦手で売れずに悩んでいる営業マン
・根性営業について行けずにストレスを抱えている営業マン
・物静かな部下に対してどう指導していいのかわからないリーダー
こんな感じにすることが多い。
気を付けたいのは、
ここでのターゲットの総数が少ないと思われると企画も通りにくい。
絞りつつも、たくさんいそうだというイメージを持たせたい。
また、毎年、ターゲットが生まれるというのも狙い目だ。
たとえば、新入社員など、毎年必ず発生するものだと、
ロングで売れる本になる可能性があるからだ。
出版社としても、
1発屋よりも長く売れる本を出したいと望んでいる。
4)類似書とは、コンセプトやターゲットなどが似ている既存の本のこと。
私は実際に企画を考えるときは、まず類似書を調べる。
似たような本が出ているか? それは売れているのか?
そして実際に買って読んでみる。
自分が書こうとしていた内容に比べてどうなのかをチェックするためだ。
あまりにも似ていたら企画として成立しないし、
売れていないようなら、そもそも売れない類の本かもしれない。
新しい商品にする価値はあるかを検討するのだ。
そうしてチェックした類似書を、記載する。
書名と出版社名だけでいい。
もし類似書がなければ、書く必要はない。
5)目次案は、全体の構成を目次に落とし込んだもの。
類似書の目次を見て、量やバランスを検討してもいいだろう。
一般的には、4~7章で大きく構成されていて、
各章のなかには、それぞれ5~10節あるのが通常だ。
私のやり方は、全部で40~50節になるようにしている。
そうすると、1節が4ページ計算で、
目次やはじめに、章とびらなどを加えると200ページくらいの本になる。
これがビジネス書での目安だ。
そして、目次のの各項目をどんな言葉にするかというのは、
とても難しい部分である。
内容を端的につたえながら読みたいと思わせるキャッチーな見出し。
これがなかなか難しい。
なので、最初はあまりひねらずに内容が伝わることを重視して書こう。
これも、本のタイトルと同様に、
あとで詰めて修正を重ねる部分でもある。
目次の作り方次第では、売れ行きを左右するものなので、
編集者とじっくり練る必要がある。
6)サンプル原稿は、実際に本の内容を書くものだ。
とくに初めて本を書く場合は、その人の力量やテイストなどが気になる。
企画が通っていざ書き始めると、全然ダメだったでは商品にならない。
編集者の不安を取り除くためにも、
2節分くらいの原稿(1節の目安は40文字×30行×4ページ)を添付して
見てもらうようにする。
もちろん、最終的にはプロが編集校正をしてくれるのだが、
編集者が頭を抱えてしまわない程度の文章力が必要だ。
まあ、普通にブログやメルマガが書けるならだいたいOKである。
7)著者プロフィール
ここは、とても重要なところなので、次回にまわすことにする。
全体として、A4用紙で3枚くらい(サンプル原稿除く)が私のパターンだ。
少なすぎても伝わりにくいし多すぎても読みにくい。
こんな感じでいつもやっている。
ということで、続く。