私もかつては売れない営業マンだった。
自分なりには頑張っていたのだが、
まったく結果が出てこない。
売れそうな気配もない。
まわりの営業マンは毎日のように売ってくる。
壁に貼られている各営業マンの売上グラフも、
日々伸びていく。私以外は。
みんなと同じようにやっていても、
同じような結果がついてこないと、
自分の能力が足りないのだと思ってしまう。
ではどうするか?
人より多く頑張るか、
もしくはあきらめて適当にやるか。
そもそもいまのやり方でいいのか、
ほかにもっと良い方法があるのではないか。
いろんな悩みが頭をめぐらせる。
頑張っていても結果が出ないときというのは、
2通りある。
ひとつは頑張る方向が違っているとき。
私などは、しゃべりに全く自信がなかったので、
トークの練習ばかりしていた。
本当にやるべきことに気づかずにいた。
それに気づいたとき(教えてもらったとき)に、
ようやく売れるようになった。
もうひとつは、方向は合っているが、
まだゴールに届いていないとき。
あと一歩でゴールに着くかもしれないが、
それが見えていないとどうしても迷いがでる。
この道でいいのだろうか?
そこで立ち止まったり、
後戻りしたり、
別の道をさがしたりしてしまうと、
さらに結果から遠ざかることになる。
そんなとき、
きちんとアドバイスしてくれる人がいるかどうかで、
営業人生も変わってしまう。
その点、私は上司に恵まれていた。
頑張るべき方向性を示してくれたのだ。
ただ、すべての営業マンが上司に恵まれているわけではない。
ときには自分で道を見つける必要も出てくる。
自分に合った本を探すのもいい。
そして、自分の営業スタイルはこれだ!
というものに出会ったら、それを信じて続けること。
トンネルの出口はあと一歩かもしれない。
延々と同じ風景を歩いていると不安になってしまうが、
それでも確実に一歩ずつ進んでいれば、
ゴールにたどり着く。
これは営業という仕事の特徴でもあるが、
徐々に結果が出ることがあまりない。
売れないときはずっと売れないままで、
ある日突然売れ始める。
だから、売れるまでは不安になってしまう。
営業は売れてはじめて仕事になったと実感できる。
売れて上司にほめられる。
まわりのみんなも認めてくれる。
しかし、営業の仕事は売れない時間のほうが長い。
この長い時間をなんとかすればいいのだ。
毎日ゴールに向かって進んでいる実感を持つこと。
たとえば、1日10件飛び込み営業をしたとする。
すべてに断られて帰ってきたら、
その日の売上はゼロだ。
成果なしとなる。
ところが、10件中1件でも話ができて、
相手の言葉が聞けたとする。
「うちはいつも別の商品を使っているからね」
「どちらをお使いですか?」
「B社のやつだよ」
「そうですか、どうしてそれを使っているんですか?」
「なんとなくだけど、味が好みなんだよね」
もちろん売上ゼロには変わりないが、
成果はゼロではない。
お客さまの声を入手できたからだ。
この情報は、他のお客さまのところで、
「先日のお客さまは、B社の味が好みだと言っていましたが、
その点はいかがですか?」
このように使い回すことができる。
プラスの情報もマイナスの情報も、
こうして他のお客さまとの会話で使うことができるのだ。
そう考えると、
たとえ結果的に売れなかったとしても、
今日は、お客さまの声をひとつ手に入れた!
これも立派な営業成果である。
売上だけを目標にしていると、
売れないときの徒労感が出てしまう。
しかし、売るためのプロセスも成果と考えるだけで、
前進している気持ちになる。
(実際に前進している!)
それを意識して行動すればいい。
結果(売上)のみを意識していると、
どうしてもプロセスがおろそかになってしまう。
日々成長している感覚を自分で作ろう。
一歩でも前に進んでいれば、いずれゴールはやってくる。