明るい性格でしゃべりがうまくて、
なおかつ沈黙ができる人。
こんな営業マンを私は最強だと思っている。
えっ? なんか普段言っていることと違っている?
そう、いつもは、
内気でしゃべり下手のほうが、
トップセールスに向いてるよと言っている。
実際にそう思っているし、現実を見てもそうだからだ。
しかし、最強は?と聞かれると、
やはり冒頭のような人物だと答えている。
そもそも営業マンは、警戒されがちな職業だ。
近寄ってきただけで避けられることも多い。
いかにも売る気満々な人が近づいてきたら、
やはり警戒してしまうものである。
明るく元気というのは、
営業マンを象徴するものだ。
漫画やドラマで描かれている、
いわゆる売れる営業マン像である。
それは、一般に浸透していて、
営業マン自身もそれが理想像だと思い込んでいるふしもある。
だから、明るく元気にしろと上司からも言われる。
ところが、いまでは営業マンお断りというのが当たり前になっている。
いきなり、満面の笑顔の営業マンがやってきたら、
話を聞く前にシャットアウトだ。
そう、明るく元気な営業マンというのは、
優秀な人というよりは、
うるさくてしつこい人の象徴になっているのが現状なのだ。
そんなときに、
いかにも弱々しくて内気な営業マンが来たらどう思うか?
強引に売り込まれる恐れがないので、
お客さまとしても安心できるのである。
しつこそうな営業マンからいったん話を聞いてしまうと、
断りづらいのがわかっている。
だから、話を聞く前から断ろうとする。
その点、大人しい営業マンなら断りやすそうだから、
とりあえず話だけでも聞いてみようかな。
そんな感覚だ。
内気でしゃべり下手な営業マンというのは、
優秀かどうかとは関係ない。
断りたいときに断りやすいと思われているから、
受け入れてくれるのである。
それは大きな利点だ。
その利点を使わない手はない。
だから、
内気な人は素のままで営業に行ったほうがいいというのが、
私の意見である。
ただ、実際に人とのコミュニケーションをとるときには、
やはり上手にしゃべれる人にはかなわない。
飲みの席やプライベートで遊びに行くなどは、
しなくてもいいよとは言っているが、
でも、それもうまくできたほうが親交が深まるに決まっている。
同じように仕事ができて、
同じように信頼関係を結べるのなら、
社交的な人のほうがいい。
つまり、
もともと明るくてしゃべりが上手い営業マンで、
しゃべりの上手さや明るさが決め手で売れるのではないことを、
きちんと理解できている人が最強なのだというわけだ。
相手の話を聞く場面ではそうするし、
黙ったほうがいい場面では堂々と沈黙できる人。
たまにセミナーなどで話すのだが、
フェラーリで徐行運転ができる人が最強だという言い方をしている。
そういう人に私は勝てない。
でも、そもそも売れる営業に思われにくいタイプが、
トップクラスでいられるだけでOKだと思っている。
そこはもう人それぞれの価値観である。
自分で社交的だと思っているのなら、
最強を目指してみてもいいかも!