サイレントセールスブログ

あなただけよ感の与え方(3)

いまの時代の営業マンが目的とするもの。

それは信頼である。

どんなに売るテクニックに長けていたとしても、
次につながったり、紹介が発生したりしなければ、
いずれは尻つぼみになっていく。

エリアが決まっている営業などはとくにそうだ。

自分のエリアを回りつくして、
ガンガン営業をかけて、
嫌われて出入り禁止になってしまったら、
仕事は増えるが売上は減っていく。

営業は、相手を騙したり言い負かしたりして売る手法は
もうやめなければならない。

ブラックと呼ばれる会社に少し前まで勤務していた人を知っているが、
その人の話を聞くと、
いかに相手からお金をむしり取るかばかりを、
会社ぐるみで考えている。

社内の営業マン同士で売上を奪い合うこともあったり、
それをやったら犯罪だろうというようなことも強要されていたそうだ。

売り上げに応じて給与もあがるという甘い言葉の裏腹に、
少しでもミスをしたら減給になるという。

上司は部下にミスをさせるように
困難な仕事を与えることもあるらしい。

おそらく、ずっとそのようなやり方で生き延びてきたのだろう。

そして、他のやり方を知らない(知ろうともしない)で、
これからもやり続けるに違いない。

社員は次々に入れ替わり、
クライアントは離れていく。

とくに今の時代は、
少しでもミスや不祥事があると、
たちまちSNSなどで拡散してしまう恐れがある。

バレないからやってしまえとか、
見つからなければ大丈夫という感覚では、
いずれは身を滅ぼすことになるだろう。

信頼を損なうことは、
それだけ危険なことなのだ。

会社も営業マンも、
お客さまからの信頼を得ることに、
これまで以上に集中しなければならない。

なので、商談の場面でも、
最初から最後まで信頼されるための言動を続ける必要がある。

あなただけに向けて話をしていますよ、
という状況を作るためには、
正確なヒアリングが必要だ。

そしてヒアリングのためには、
その前段階がとても重要になる。

仕事の話に入る前の、
アイスブレイクだ。

単なる雑談でどうでもいい話と甘く見られがちだが、
このアイスブレイクのときから、
信頼を積む作業が始まっているのである。

アイスブレイクの目的は、
これまで何度も話してきているが、
相手の警戒心を解くことだ。

そのためには、
できるだけ相手に気持ちよく話してもらうことがポイントである。

目的としてはそれでいいのだが、
営業としてのプラスアルファを考えると、
単に話してもらうだけではもったいない。

ここで相手が話す情報は、
たとえそれがビジネスに直結しない雑談だったとしても、
後々に生きてくる。

たとえば、
お客さまと雑談しているときに、
コンビニのおでんで何が一番好きかという話題になったとする。

するとお客さまは糸こんにゃくだと言った。

あなたはそれを食べたことが無かったらどうするか。

帰りにコンビニによって糸こんにゃくを食べてみるのである。

そしてその感想を、メールに書く。

打ち合わせが終わったあと、
帰社してからお礼のメールを出すのを、
ルーティン化している人もいるだろう。

そのメールは、相手専用の内容になっているだろうか?

もし、定型のあいさつ文になっていたとしたら、
その文章の最後にこのような一文を加えてみることを
お勧めする。

「帰りにコンビニで糸こんにゃくを買ってみました。
はじめて食べましたがうまいですね~!
今後の定番になりそうです」

お客さまとの雑談の内容を書くと、
相手はどう感じるか?

その内容は、先ほど会って話をした相手専用のものになる。

すなわちあなただけよ感になるのだ。

この一言を加えるだけで、
無機質な挨拶文が見違えるようになる。

もちろん、メールだけでなく、
次に会ったときに同じようなコメントをしてもいい。

人は、
自分の話を聞いてくれる人、
自分の話を面白がってくれる人、
自分の話を真剣に聞いてくれる人、
そんな人に好意を寄せる。

アイスブレイクの時点から、
営業の仕事は始まっているのである。

そのためにも、心に余裕を持って、
相手をしっかりと観察して受け止める気持ちが重要なのだ。