私は肩書をサイレントセールス・トレーナーと言っている。
すると、よく「サイレントセールスって何ですか?」と聞かれる。
それに対して私は、
・しゃべらない
・しゃべってもらう
・黙って見せる
この3つの基本行動のことだと答えている。
それぞれについて解説しよう。
・しゃべらない
これは営業マンはできるだけしゃべらないほうがいいというもの。
余計なことを言って売り逃すくらいなら、
むしろしゃべらないほうがいい。
何をしゃべらないほうがいいのか?
何ならしゃべってもいいのか?
その基準を持つことで売れるようになれる。
・しゃべってもらう
自分がしゃべるのではなく、お客さまにしゃべってもらう。
とくに営業の場合には、
相手にたくさんしゃべってもらったほうが有利になる。
情報を引き出せるだけでなく、
相手をリラックスさせてガードを下げる効果がある。
さらに、きちんと話を聞く姿勢は信頼感を生む。
いかに相手にしゃべってもらうかが、営業の腕の見せ所である。
・黙って見せる
営業の言葉というのは、
100%信用されないと思っておいたほうがいい。
それは、どんなに信頼関係を結んだ間がらでもだ。
そんなときは、言葉ではなくモノで見せるようにすること。
言葉で「すばらしい商品です」と力説するよりも、
どんなにすばらしいかを証明できる資料やデータを見せたほうが、
はるかに簡単で説得力がある。
トークを磨くよりも、わかりやすい資料を作ること。
それを黙って見せること。
営業マンのどんな言葉よりも効果的に伝えてくれる。
私のセミナーや本の内容というのは、
すべてこれらが軸になっている。
こうして結果的に営業マンのセリフを減らすことが、
売れる近道になるのだということを、
細かく掘り下げて行くのだ。
そして最終的には、
営業マンが言いたいことをお客さまがしゃべってくれる。
商品説明や、特徴なども全部言ってくれる。
それに対して営業マンは、
「よくご存じですね~」
と言うだけ。
これが私の理想としている姿である。
このしゃべらない営業(サイレントセールス)の利点は、
極端な話、誰でも売れる営業になれるということ。
とくにしゃべるのが苦手な人でも、
(しゃべらなくてもいいので苦手なことをしなくて済む)
結果が出やすい点にある。
そもそも私自身が、しゃべることが苦手なので、
それでも通用する方法はないかと模索していた時期があった。
なので、視点はいつも、しゃべりの苦手な人なのだ。
言葉というのは、
どんなにしゃべり方を磨いても、
通用しないことがある。
それは相手がいるからだ。
相手の受け方次第で、
うまい話も聞いてくれないことがあったり、
反対に、ヘタな話でも聞いてくれたりする。
ようするに、ヘタな話でも聞いてくれるように、
相手を変えればいいのだ。
まあ、変えるというと、
ちょっと上から目線的に聞こえるかもしれない。
言い換えると、警戒心を解くということだ。
営業マンに対して警戒している相手には、
どんなに言葉を尽くしても通用しない。
それは、話がうまかろうがヘタだろうが同じである。
ところが警戒心が解かれると、
不思議なくらいに聞いてくれるようになる。
それまた、話がうまかろうがヘタだろうがだ。
それが話ベタな人でも売れる理由である。
商品の良さがきちんと相手に伝われば、
自然に売れる。
それは事実だ。
ただ、勘違いしている人は、
商品の良さをきちんとしゃべれば売れると思っている。
しゃべったからって、
誰もが聞いてくれるわけではない。
むしろ、聞きたくないと思っている相手に対して話すのは、
反感を買ってしまう恐れもある。
意識すべきは、
自分のしゃべりよりも相手の気持ちである。
つづく