サイレントセールスブログ

しゃべらない営業のススメ(5) 

これまで、営業マンはしゃべるなとか、
営業にしゃべりのうまさは関係ないなどと言ってきた。

それは、ヘタなしゃべりを推奨するということではない。

もともとうまくしゃべれる人はそれでいい。

ただ、本当にうまい人などは一握りだ。

その他の人が、営業成績をあげることを目的として、
しゃべりの練習に時間を使うことはないというのが、
私の言いたいことである。

「これはとっても便利ですよ!」

と相手に伝えたいとする。

しゃべりのうまい人なら、わかりやすく説明できるかもしれない。

しかし、うまい人と同じことをヘタな人が再現できるかというと、
それはムリに近いだろう。

しゃべることというのは、
単に同じ言葉を口から発すればいいものではない。

スピードやトーン、間、抑揚、声質など、
いろんな要素が組み合わさっている。

その違いがウマい・ヘタとなり、
個性になる。

また、仮に同じようにしゃべれるようになったとする。

でも同じしゃべりができるのは、その覚えたセリフだけの話で、
その他の会話では、どうしても違いが出てしまう。

すると、その人の個性が出るしゃべりと、
そうでない部分が混在することになる。

営業というのは、お客さまとの会話で成り立っているものだ。

そのときに、相手に違和感を与えてしまうのはマイナスになる。

しゃべりの練習をすればするほど、それは顕著になってくる。

なので、営業マンはしゃべりの練習をするよりも、
もっとほかのことに時間を使うべきだというのが私の持論だ。

では、ほかのこととはどんなことなのか?

それは言葉を使わなくても相手に伝わる方法だ。

言葉に頼らずに「とっても便利だ」ということをどう伝えるか。

それをカタチにするのである。

言葉にはあいまいなものが多い。

「便利だ」

「すごい」

「きれい」

「おいしい」

「使いやすい」

など、どれも発言する人物によって、
伝わる度合いが左右されるものばかりだ。

その点でも、言葉ばかりを真似しても、
同じ成果は出てこないという理由になっている。

だからこそ、誰でも同じように相手に伝わるモノが必要なのだ。

それは、資料やデータ、記事など。

見せるだけで正確に伝わる営業ツールのことである。

「この商品はとっても便利だ」と口で言うのではなく、

「この商品の特徴はこうです」と言って、
便利さが客観的に伝わる資料を見せる。

これなら、どんなに口下手な人でも伝えることが可能だ。

すべてを言葉で説明しようとするのではなく、
資料やデータに変換して伝えるようにしよう。

そのためにこそ時間を使おう。

そもそも営業マンの言葉の信頼度は、決して高くない。

営業の言っていることだから、
話半分に聞いておこうなどと思われたりしている。

いくら営業マンが「お勧めです!」などと力説しても、
信頼性のない言葉には、説得力がない。

それよりも、信頼できる資料を黙って見せたほうが、
圧倒的に納得してくれる。

これが、しゃべらない営業の3つ目のポイントである。

説得力のある資料があれば、
どんな営業マンでも一定の情報をお客さまに伝えることができる。

使い回しもできるので、
営業部全体の底上げもできる。

もちろん、そう簡単に効果的な資料などできないだろうが、
しゃべりの練習時間を資料作成にあてることは可能だ。

うまくしゃべれる人もうまくしゃべれない人も
同じ成果を出せるようになれば、
全体の売上はどんどん上がっていくだろう。

つづく