サイレントセールスブログ

よい質問は相手を饒舌にする

私はたまにビジネス雑誌などのインタビューを受けることがある。

ライターさんが質問して私が答える。

それをうまく文章に起こしてまとめてもらう。

なので私としてはとても楽な作業になる。

単に話せばいいだけだから。

ところが、その質問者によっては私の対応は大きく変わる。

聞かれたことにしか答えない無口な私になったり、
聞かれないこともしゃべる饒舌な私になったりする。

いやべつに人に対する好みの問題ではない。

ちょっとした質問の仕方の違いで、
私の対応が真逆になってしまうことがあるのだ。

たとえば、

「サイレントセールスとは何かを一言で教えてください」

こんな質問を最初にされると、私はとても困ってしまう。

そして答える気を無くす。

この人は私から何を聞きたいのだろうか?

その意図が見えない。

この取材でどのような原稿を作ろうとしているのかが見えないと、
私としても何をどこまで答えるべきかがわからない。

方向性の見えない質問をされると、
こんな答えになる。

「できるだけしゃべらずに売ることです」

自分でもこんなぶっきらぼうな答え方はしたくないのだが、
仕方がない。

聞かれたことだけに答えるしかないのだ。

ほかにも、

「売れるようになるためのコツはありますか?」

それはある、ありますよ。

山のようにある!

でも、それは人によって違ってくる。

・どんな営業マンが
・どんな商品を
・どんな相手に
・どうしたいのか?

その辺がわかっていないと、これまた答えようがない。

すると、私の答えは、

「相手の話を聞くことですね」

という面白くもない一般論を言わざるを得なくなる。

自分の答えが面白くないと思いながら答えることほど
イヤなものはない。

そうして私はどんどん口数が少なくなっていく。

相手としたら、やりにくいなと感じるかもしれない。

でも、やりにくいのはこちらも同じ。

反対に、私が饒舌になってしまうときはどんな感じなのか?

「営業って話がうまい人が売れるイメージってありますよね?」

「まあ、そうですね」

「でも、それって本当なんですか?」

「いえ、じつは違うんです」

「えっ、違うんですか! 詳しく聞かせてください!」

こんな感じで質問されると、
私はもう待ってましたとばかりに身を乗り出してしまう。

うまい質問にはこのように「前フリ」がある。

一般的にはこうですよね、という前提の質問だ。

これによって、話題をどこにフォーカスしようとしているのかが、
答える側にも伝わる。

その一般論に対して、
本当にそうなんですか?
突っ込んで聞いていいですか?

という投げかけをしている。

そういう質問には答えがいがある。

世間ではこう言われていますが、
専門家の意見としてはいかがでしょうか?

こう聞かれたらその道のプロとしては、
とっておきの情報を答えたくなるものだ。

「ほかにもこういう例がありましてね・・・」

と聞かれていないことまで答えたくなってくる。

話している私も気持ちよくなっていく。

営業の場面でも、

ヒアリングなどでお客さまに質問することがあると思うが、
質問の意図がわからないとお客さまも答えにくい。

「社員の福利厚生についてどうお考えですか?」

いきなり聞かれてもどこから答えていいのかわからないし、
ヘタに答えても売り込まれそうで警戒してしまう。

すると、

「どうって言われても、普通に考えてますよ」

こんなぶっきらぼうな答えになってしまいがち。

ただ単に決まりセリフで質問をしても、
望ましい答えは得られない。

この場合も、

「最近は、社員の定着率をあげるために福利厚生が重視されているようですね」
(新聞記事を見せながら)

「そのようですね」

「御社ではいかがですか?」

「まあ、一通りはしているつもりですけどね、なかなか・・・」

「そうですか、ちなみにうちではこんなサービスを始めたんですが、
ご存知でしたか?」

こんな感じで、まず一般論から入って、
これからこの話をしようと思っていますよ~
と暗に伝えることでその後の具体的な話がスムーズになる。

より詳しく話を聞きたいときには、
段階を踏んだ質問が効果的だ。

そして、このような聞き方をされると、
どんなに警戒しているお客さまでも、
案外すんなりと答えてくれる。

ヒアリングにも一工夫入れることをおススメする。