サイレントセールスブログ

アポ取り電話は第一声で決まる

私が今の仕事をはじめるきっかけとなったのは、
TFTアポ取り法を考案したことだった。

当時やっていたデザイン会社で、
危機的状況を打開するために、
新規アポ取りの手法を考えた。

そのおかげで会社は復活することになるのだが、
その手法を一般化してツールとして販売を始めた。

そこが私の営業コンサルのスタートである。

最初はアポ取りを教える仕事をしていた。

起業したばかりの人に、
新規アポを取る方法を解説して、
ツールを一緒に作り、
そして実際にアポが取れたことを喜んでいた。

ただ、営業の仕事はアポを取ることだけではない。

むしろアポ取りなどはほんの一部にすぎない。

本質はきちんと売ることである。

そうして、アポ後の営業も教えるようになって、
今日に至る。

というわけで、
最近はあまりメインで扱ってはいなかったが、
私はそもそもアポ取りのほうが得意だったのだ。

さてそのアポ取りだが、
あなたはどのように行っているだろうか?

私がリクルート時代にやっていた(やらされていた)のは、
とにかくリストをみながら電話をかけまくるというものだった。

たまたま求人広告を検討している会社に当たったらラッキー、
というスタイルだ。

当然ながらムダも多いしストレスもかかる。

一日中電話をしても一件もアポが取れないことなどザラだ。

でもそういうものだと諦めてもいた。

もし、あなたがそのようなアポ取りを続けているとしたら、
一工夫してみてほしい。

さて、アポ取りで大切なのは、電話の第一声である。

この最初のセリフで間違えているケースをよく見かける。

一般的に間違っているセリフとはこうだ。

「もしもし、はじめまして、いつもお世話になっています。
〇〇会社の〇〇と申します。
お忙しいところすみませんが、
本日社長さまはいらっしゃいますでしょうか?」

よくありがちなものである。

私のところにもこんな電話がたまにかかってくる。

このような電話が来たらどうするか?

ああまた何かの営業だろうと感じて、
話を聞く前に断ろうとするのが普通だ。

なまじ話を聞く態度をとってしまうと、
延々と話されてしまうことがある。

以前、聞く気をみせてしまったときに、
ずっとしゃべられて困ったことがあった。

こちらの相づちを待つでもなく、
とにかくひとりでしゃべり続けていた。

私は途中で面倒になって(というか付き合っていられない)、
受話器をスピーカーにしてそのまま放置しておいた。

すると、20分(!)くらい経ってから、
こちらが聞いてないことを察して、
呼びかけてきた。

「もしもし、聞いてますか?」

「聞いてますよ、続けてください」

もちろん聞いてはいないのだが、
悪い例の参考までに続けてもらったのだ。

その後、さらに10分しゃべってきたところで、

「ああ、わかりました。うちでは使わないので結構です」

と言って一方的に電話を切った。

まあ、いじわるな対応だったかなと思ったが、
そのような不毛なアポ取りを自覚してほしいという気持ちもあって、
あえて、冷たくした記憶がある。

さすがに今ではそんな電話をする人は見なくなった。

さて、第一声の話。

受け手の心理としては、
知らない人から電話が来たらまずこう考える。

「この電話は良い知らせか悪い知らせか?」

良い知らせとは、自分に利益をもたらしてくれるもの。

仕事の依頼とか問い合わせなどだ。

私の場合はHPを見て電話してくるケースと、
本を読んで電話してくるケースが主になる。

そういう電話はもちろん大歓迎なので、
ていねいに応対する。

一方で悪い知らせとは、時間やお金を取られるもの。

営業の売り込み電話などがまさにそれだ。

もちろん、すべての営業の電話がムダだとは言わない。

有益なものもあるし、実際に利益につながるものもある。

だからこそ、「悪い知らせ」だと最初に思われたらダメなのだ。

電話の受け手が悪い知らせだと感じたら、
もうその時点でアウトである。

実際にそうでなくても相手が感じたかどうかが重要。

ということは、第一声でどう感じてもらうかを
考えなくてはならない。

さきほどの悪い例の中には、
悪い知らせ(売り込みの電話)だと感じさせる要因が
いくつも入っていた。

「もしもし、はじめまして、いつもお世話になっています。
〇〇会社の〇〇と申します。
お忙しいところすみませんが、
本日社長さまはいらっしゃいますでしょうか?」

どこだかわかるだろうか?

・はじめまして

・いつもお世話になっています

・お忙しいところすみませんが

・社長さまはいらっしゃいますでしょうか

少なくともこの4つである。

ということは、
セリフのほとんどがアポ取り時の禁句と言えるのだ。

ほかにも、

・にこやかな口調

・丁寧な言葉づかい

・表現力の高い抑揚

・テンション高めの声

などが加わってくると、要因はもっと増えてくる。

先日、コールセンターで仕事を始めた方から聞いたのだが、
このように指導されているとのこと。

・笑顔でテンションを上げて電話をする

・丁寧でフレンドリーな口調を心がける

それを聞いて「おいおい」と思った。

聞けば誰もが知っている超大手企業だったが、
まだそのような指導をしているのか!

世の中には、
明るく元気に電話をすることが良しとされる風潮が残っているようだ。

ちなみに私は彼に、

「基本は会社で指導されたことに従ったほうがいいけども、
実際には、テンションを下げて静かにゆっくりとした声で話したほうが良い」

と助言した。

言いたいことはまだたくさんあったが、
最低限それだけでもやれば効果があるからだ。

後日、聞くと、相手の反応がいままでと違って、
アポが取りやすくなったとのこと。

まあ当たり前のことなのだが、
それが世の中的にはまだ当たり前の域に達してないということだ。

あなたの新規アポでの第一声には、
上記の4つのセリフが入っていないだろうか?

入っていたら、まずそれを取り除くこと。

そこからスタートしないと、
先には進まない。

そのうえで、有効なセリフは何かについて、
次回お話しする。