サイレントセールスブログ

アポ取り電話は第一声で決まる(4)

アポ取りのとき、
同じセリフを使っていても、
人によって成果が違ってくることがある。

とくに決められたトークで同じようにやることが求められる
コールセンターなどを見てみると、
アポが取れる人となかなか取れない人とのバラつきが出る。

同じセリフで成果が変わるということは、
言葉以外の要素が関係しているということだ。

声のトーンや間の取り方。

話すスピードや滑舌。

声質なども関係してくる。

前にも話をしたと思うが、
以前アポ取りのコンサルを行ったときのこと。

セリフをマニュアル化して統一し、
部署内で一斉にアポ取りをしたのだが、
やはりそこでもバラツキが出た。

バンバン取れる人と全く取れない人。

しかも取れているのは、
営業未経験のSEあがりの新人女子社員。

一方で、全く取れないでいるのは、
ベテランの営業部長。

自分だけ成果が出ないで焦っているのがよくわかる。

そして焦ると余計に取れなくなることも
私はよく知っている。

彼らの違いはどこなのか?

それは一言で言うと、

「営業っぽさ」があるかどうかである。

新人の女性は、営業などやったこともないし、
ましてやアポ取りの電話など初めてだ。

いくら言うセリフが決まっているとはいえ、
たどたどしいしゃべりになるのは当たり前である。

下を向いて、ボソボソと、

紙に書いてあるセリフを目で追いながら、

棒読みしている。

一見すると、ダメ営業マンに思えるかもしれないが、
じつはそれが良いのである。

アポ取りは、ダメ営業マンになるべきだからだ。

一方の営業部長は、苦戦している。

あんなにヘタな新人がバンバンアポを取っているのが、
不思議で仕方がない。

あれはたまたまニーズのある相手に当たっただけだろう、
という見方をしている。

ベテランとしてのプライドもある。

ここで良いところを見せないと、
上司としてのしめしもつかない。

焦って気合いを入れて余計に結果が出なくなっていた。

そこで私は部長にこっそりアドバイスした。

それを聞いた部長は驚いた顔をした。

完全に否定モードだ。

それでも私は、とにかく一度試してみてくれと言った。

部長はしぶしぶやってみることにした。

すると、
これまで相手とはほとんどしゃべることなく
電話を切られていたのだが、
今回はなんだか会話が続いているようだ。

少しうれしそうな顔をして受話器を置いた部長に、
「どうでした?」と聞くと、
「ダメでした」という返事。

「でも、相手としっかり話ができて、
なぜダメなのかも聞けました」

「こんなに会話ができたのはビックリです!」

そんな反応だった。

その後、コツをつかんだ部長は、
新人に負けないくらいにアポが取れるようになった。

変わったのは一瞬である。

そのとき私が伝えたアドバイスとは・・・・

「ボソボソと、
紙に書いてあるセリフを棒読みしてください」

そう、まさに新人がやっていたことをそのまま伝えたのだ。

ベテランの営業マンとしては、
すぐには受け入れにくいことでもある。

それでも私はなかば強制的にやってもらった。

営業はうまくしゃべるのが優秀だと思われがちだが、
その逆をやれということだ。

何度も言うがアポ取りは営業ではなくリサーチの仕事である。

リサーチにはリサーチらしい振る舞いがある。

そこで営業っぽさが出てしまうと、
相手は警戒してリサーチにもならない。

だからアポを取るときにはリサーチに専念すること。

それがコツである。

営業をするのは実際に会ってからすべきなのだ。

アポ取りの電話では、
フレンドリーさもバカ丁寧な言葉遣いもいらない。

事務的に淡々とこなすこと。

感情や言葉の抑揚も除外する。

一般的に言われていることと真逆のように思う人もいるかもしれないが、
これは事実である。

もし、現状のやり方でうまく行っていないとしたら、
試しにやってみるといい。

普通、電話をしたら相手はすぐに冷たい態度をとったりはしない。

冷たくされるのは、こちら側がそうさせているだけなのだ。

アポ取りは営業ではない。

これを自分に言い聞かせてやってることをおススメする。

今回はこれで終了しようと思っていたが、
もう一回だけ続けることにする。

それは、アポ取りというよりも
電話だけで受注までもっていくときのコツについて。

ということで、次回に続く。