サイレントセールスブログ

トラブルはチャンスにかわる

講演をしていると、
たまに予期せぬことが起こったりする。

これまでにも

・マイクの電源が途中で切れた。

・スピーカーのハウリングがうるさい。

・演壇の水をこぼした。

・パソコンが動かない。

・セリフを忘れた。

・スポンサーの社名を間違えた。

など、たくさんのことがあった。

私のミスも多々あったが、
なかには不可抗力的なこともある。

とくに記憶に残っているのは、
私の2回目のセミナーのとき。

200人くらい入る会場を借りて、
ビデオ収録も行う緊張する場面。

前日はひとりで何度もリハーサルを繰り返し、
緊張でほとんど眠れなかった。

当日、どんどん人が入ってくる。

全部で30名くらいだろうか。
(正直、あまりおぼえていない)

そして本番直前に、とんでもないことになった。

どこをさがしてもマイクがないのだ。

たいていは、当たり前のように演壇に置かれているものなので、
気に留めていなかった。

そこで、会場のスタッフに聞いてみると、

「マイクはありませんよ」

と言うではないか!

あまりのことに私は言葉を失った。

私は人一倍声が小さい。

小さな会議室でもマイクを使わないと、
声が通らない。

大会場でマイクなしでどうしろというのだ!

その会場は知り合いの予備校の教室だった。

無料で借りたので文句は言えない。

これはあとで気づいたのだが、
学校ではマイクを使わないことが多い。

たしかに先生がマイクで授業をしていた記憶もあまりない。

その予備校でもマイクなしで普段から行われていたのだ。

気づくのが遅かった。

でももう時間がない。

参加者は席について始まるのを待っている。

私は腹をくくった。

産まれてはじめて大きな声で話すことになった。

自分の声がどこまで届くかなんて知らなかった。

一番後ろの席の人に声をかけた。

「このくらいの声で聞こえますか?」

私が講演のときにいつもやるルーティーンは、
このとき生まれた。

ほぼ初めての講演。

初めてのビデオ撮影。

うろ覚えの講演内容。

しかも、マイクなし。

私の緊張度は超マックスだった。

そこまでになると、
もうなるようになれと思うしかない。

いい意味で開き直ったのだ。

自然に力が抜けて、
内容に集中できるようになった。

マイクがないというトラブルを顔に出さずに、
当たり前のように振舞った。

おそらくそれが良かったのだろう。

講演後のアンケート結果は上々だった。

私の成功体験のひとつである。

営業という仕事も、ある意味でトラブルと隣り合わせだ。

相手が人間なので、必ずしも予定通りには運ばない。

ときには想定外の事態も発生する。

・予定以上に相手の人数が多くて資料が足りなかった。

・名刺を忘れてきてしまった。

・道が混んでいて遅刻した。

・相手の体調が悪そうだった。

こんな経験は長く営業をやっていれば誰でもあるだろう。

ポイントは、トラブルが起こったときどうするか、である。

気が動転してオロオロしてしまうのは当たり前。

緊張してしまっても許されたりもする。

しかしそれでは普通だ。

ここで一歩踏み出してみよう。

トラブルが起こったら、
内心では気持ちがざわついていても、
それを顔に出さないようにする。

冷静に対処する。

もしくは何もなかったかのように振舞う。

それができると、相手に一目置かれる存在になれる。

私は講演のときに、
たとえば、途中でマイクが切れてしまっても、

「あれ、マイクの調子が悪いみたいですね。

これくらいの声で聞こえますか?」

と、とっさに自声に切り替えて、話を進めるようにしている。

何かが起こったときでもスッと対処できる姿を見せる。

それを見ている人により強い安心感を与えるためだ。

それが信頼につながっていく。

トラブルが起こったときには、
信頼を高めるチャンスだととらえて、
ことさらに平然とした姿勢をとることをおススメする。

人は、緊急時の対応を見て評価するものだから。