サイレントセールスブログ

営業が人生の不安を消してくれる(3)

前回の続きから

私は、子供の頃からいつも逃げてばかりいた。

習い事をしていても、
野球チームに入っても、
クラブに入部しても、
すぐにやめたくなってしまう。

何をやるにも長続きしない性格だった。

そんな逃げ癖が、
リクルートで売れるようになってからも出てきたのだ。

そしてそのことが私の人生を大きく変えるものだった。

というところから。

居心地の悪さ。

それは子供の頃からずっと私につきまとっていた。

どこへ行っても、何をやっても居心地が悪い。

すぐに帰りたくなる。

それは、つらい作業をしているときだけでなく、
レクリエーションなど、普通は楽しい時間ですら、
私には苦痛だったのだ。

なんでみんなはあんなに楽しそうにできるんだろう。

それが不思議でしょうがなかった。

で、リクルートでトップになっても、
その居心地の悪さが消えなかったときに、
ようやく気付いたのだ。

「あれ、この気持ちって自分が飽きっぽいからじゃないのかも?」

そう、自分は飽きっぽいから何でも長続きしないのだと、
勝手に思い込んでいたことに疑問を憶えたのである。

その疑問が決定的になった出来事があった。

リクルートでは3ヶ月ごとに決算がある。
するとそこでトップ営業などの表彰が行われるのだ。

大きな講堂を借りて、
何百人もの社員が集まって、
成績優秀者がみんなの前で表彰される。

さらに、ステージの上で賞状を渡された人は、
そのままマイクに向かってスピーチをするのが恒例になっていた。

それがまたみんなうまいのだ。

なかには自前の派手な衣装で登場して、
芸人さながらに話術を披露し、
会場の拍手喝采を受ける人もいた。

とにかくみんな楽しそうだ。

大勢の前でスピーチをしてウケるのが喜びなのだろう。

そんななか、徐々に私の順番が迫ってきた。

もちろんウケるスピーチなど考えてもいない。

表彰される喜びよりも、
あんなところに立ちたくないという気持ちが
圧倒的に強かった。

緊張で胸が苦しくなっていた。

そこで私はある決断をしたのだ。

その場から逃げ出すという決断を!

もちろん逃げるのは恥ずかしいことだ。

上司にも恥をかかせてしまうだろう。

そして、あとで何を言われるかわからない。

でも、それ以上に私は
あんなところに立ちたくなかったのだ。

というよりも、立てない。

自分にはどうしてもムリだと思ったのである。

演壇でうれしそうに話している人をはじめ、
ここにいる人たちはみんな目立ちたがっている。

そして、そのために仕事を頑張るという
モチベーションを持っている。

私はというと、
むしろあそこに立たされるくらいなら、
トップになんかなりたくないと思った。

それは私の中では強烈な感覚だったのだ。

そのときようやく気がついた。

生まれてから27歳にして
自分のことがやっとわかったのだ。

私は集団活動に耐えられない性格なのだと。

集団の中にいれば、
否応なしに人目に触れることになる。

ときには、今回のように目立つことも起こりうる。

できるだけ目立たないように過ごそうと思うと、
それはそれで神経を使う。

人目を気にしすぎるのかもしれない。

神経が過敏なのかもしれない。

いずれにしても合点がいったのだ。

私が過去において、
部活動をすぐにやめてしまったのも、
習い事やグループ活動が苦痛だったのも、
それは、根気が続かないという理由ではなくて、
単に、集団のなかにいることが苦痛だったのである。

そうだとしたら、
生き方の方向転換をしなければならない。

このままこうして会社に勤めていても、
また、別の会社に転職したとしても、
いずれ辞めたくなるときが来るだろう。

だとしたら、自分には会社勤めはできないのか?

そう考えると、絶望感があった。

しかし、同時にそこに救いの手が差し伸べられたのだ。

つづく。(あれ? この話、どこに向かっているのかな?)