サイレントセールスブログ

小さな仕事を大きくするには

先日、知人と一緒に営業先に行ったときのこと。

その営業先は彼のクライアントで、
そこに私を紹介してくれることになったのだ。

ただ、その友人の仕事は、
私とはほぼ無縁のシステム開発系だった。

当然ながら、システムの仕事でそのクライアントとは付き合っている。

では、なぜ私の営業研修の紹介をしてくれることになったのか?

そこに彼の会社が成長した秘訣がある。

聞けば、そのクライアントとは
3万円の仕事を請け負ったのが始まりだったとのこと。

それが今では数千万単位の付き合いにまでなっている。

もちろん、仕事が評価されてどんどん仕事量が増えていったのもあるだろう。

ただ、それだけではないと私は思った。

彼の仕事のしかたは、
良くも悪くもおせっかいである。

与えられた仕事の範囲から逸脱している。

それが性格なのか性分なのか。

とことん突っ込んでいく。

システム開発のために社内でヒアリングを行うにしても、
ときにはプライベートなことまで話をする。

そのうちに信頼されて相談を受けたりもする。

極めつけは、仕事を辞めるかどうかの相談を、
持ちかけられることもあるそうだ。

まあ、社内の人には言えないこともあるので、
それを聞いてくれる存在なのだろう。

そんな彼も、単に相談に応えているだけではない。

きちんとアンテナを張っているのだ。

雑談をしているようでいて、
新しい仕事のネタを探している。

悩みごとや困りごとがないか?

それを解決するためにはどうしたらいいか?

自分の仕事の範囲外のことでも、
しっかりと情報をつかもうとしている。

すると、今回のように、

・営業がなかなか育たない

・新人がすぐに辞めてしまう

・そもそも教育するしくみがない

・売れている人は個々のスキルに頼っている

・何かいい方法はないか?

そんなやり取りの末に私に声がかかったと想像できる。

そうして小さな仕事を大きくしていったのだ。

ちなみに私も、
デザイン会社時代は似たようなことをしていた。

まず、担当者Aとの付き合いが始まる。

デザイン案を作って持っていく。

最初はかなり気合を入れて、
要望されたもの意外にも持って行ったりする。

大きなテーブルの上にデザイン案を並べながら、
打ち合わせをしている。

すると、通りかかった別の担当者Bが興味を持つ。

一緒に見ながら意見を出し合う。

そうすることで、
こちらのデザインの技量はもとより、
私のキャラクター(話しやすいかどうかなど)も伝わる。

そこで一度話をしているので、
担当者Bは私に仕事の注文をしやすくなる。

それを繰り返していくことで、
いろんな担当者と知り合いになり、
自然に仕事が増えていった。

近年、私が研修やセミナーを受けるときに、
ひとつの傾向がある。

それまでの主力商品とは別のものを取り扱い始める企業が増えている。

しかも、その別のものというのは、
主力と違うカテゴリーのものだったりする。

もちろん、今まで付き合いのある主力の売り先には売れない。

その担当者に、別の部署を紹介してもらう必要が出てくる。

ひとつの会社と付き合うときに、
その社内で横展開をすることができれば、
比較的ラクに仕事を広げることができる。

そのときに、自分の新商品を見せて、
「これを扱っている部署を紹介してください」
というのは簡単だ。

それはやるべきことなのだが、
そう簡単には決まらないことも多い。

自分の商品ありきで話を進めようとすると、
その商品にマッチしないときには、そこで話が止まるからだ。

冒頭の知人の彼は、
自分の商品に当てはめようとしていなかった。

(そもそも営業研修などは商品ではなかった)

それよりも、クライアントの困りごとにフォーカスしていた。

それを解決できる方法がないかと模索したうえで、
私のことを思い出したのだ。

そして実際にビジネスにつなげることで、
新たなジャンルを開拓できて、
利益にもつながって、
クライアントからの信頼もより一層厚くなった。

そのときに、実際に利益にならなくても構わない。

紹介するだけでもいいのだ。

自分の商品だけではなく、
他の商品を経由しながら、
複数の接点を持つことこそが信頼につながっていく。

実際に、
そうした人と人とのマッチングをしている保険の営業マンは多い。

そうしたおせっかい的なサービスこそが、
自分のビジネスにつながることを知っている人たちである。

最初は、小さな仕事から入っていって、
そこから大きく増やしていく。

そんな戦略を立ててみてはいかがだろうか。