サイレントセールスブログ

昔ながらの営業スタイルはパワハラか?

「注文とってくるまで帰ってくるな!」

「今月ダメだったらもうクビだからな!」

「100件電話してダメだったら200件電話しろ!」

むかしはこんな上司がたくさんいた。

いや、今でもいる。

売れない部下に何とかして売ってもらいたい気持ちが、
このようなセリフになってしまう。

イジメているのではない。

叱咤激励なのだ。

ただ、どうだろう。

いまの時代、ヘタをするとパワハラになるのではないだろうか。

学校の先生が、生徒をたたくと大問題になる。

昔は、バシバシたたかれていたし、
それが当たり前の風潮があった。

軍隊式の教育である。

現在では、手をあげることは当然だが、
言葉の暴力というのもある。

営業の現場では、とくに精神論が重要視されてきた。

「頑張る」「粘る」「気合いを入れる」「根性」などなど。

ともすると、頑張れば成果が出ると思われているフシもある。

だから売れない部下に「頑張れ」と言いたくなる。

部下は頑張っているつもりでも、
上司から「もっと頑張れ」と言われたら、
ノーとは言えないだろう。

「はい、頑張ります」と言わざるを得ない。

でもそれがどれほどの効果があるのかは疑問だ。

頑張るだけで、売れるようになるのなら誰も苦労はしないはず。

そもそも、精神論というのは個人差が出るものだ。

どこからどこまでが、頑張ったことになるのだろうか?

根性が「ある」と「ない」の境目はどこなのか?

私のように大人しいタイプの人は、
心の中で頑張っているつもりでも、
それが表情に出ないことが多い。

喜怒哀楽が薄いのだ。

すると、見た目には頑張ってないと思われてしまう。

これは、営業という仕事が長い間抱えてきた課題でもある。

上司は部下に売って欲しいと思っている。

だから指導したいのだ。

しかし、どうやって指導したらいいのかわからない。

自分の経験だけを頼りにやらせることが多くなる。

ただ、それだけではすべての部下が売れるようにはならない。

どうしても売れない部下が出てくる。

そんな部下に対してどうやって指導するか?

その方法を知らないと、どうしても精神論に頼らざるを得なくなる。

「もっと頑張れ」「気合いを入れれば売れるんだ」「根性で売ってこい」

おそらく自分でももどかしいと思っている。

こんな指導で売れるかどうか半信半疑だ。

でも、それしかできないでいる。

精神論ばかりで指導してくる上司というのは、
そもそも営業はどうして売れるのかという理屈を知らないことが多い。

部下が、「どうして?」と疑問を投げかけても、
「ごちゃごちゃ言わずにとっとと行け!」と一蹴してしまう。

本当にこんなことをやっていて売れるんだろうかと、
不信感を持ちながら部下は営業している。

なぜ精神論になってしまうかというと、
そもそも営業というのは教え方が確立されていないからだ。

学校の授業にもない。

営業は、就職してからその会社のやり方を覚えて習得するものと
考えられてきたからである。

だから教え方というのは、OJTがメインになる。

上司がやっていることを覚えて真似ることがすべてだ。

上司としても、自分のやり方を見せること以外に教え方を知らない。

だから、それでうまくいかないと、精神論に頼るしかないのだ。

今はまだ、営業とは厳しいものだという風潮があるから、
多少精神的に追い詰められても許容されているかもしれない。

しかし、そろそろ上司からの強い圧力によって、
精神的苦痛を与えられたと訴えが起こっても不思議ではなくなるだろう。

パワハラで訴えられるかもしれない。

そうなってしまうと、
これまでの指導ができなくなって悩む上司が増えてくる。

どうやって教えて行けばいいんだ!

甘やかすしかないのか?

今後はそんな感じになるのではと予測する。

でもそれは上司のせいではない。

そもそも営業を教えたり習ったりする機会がなかったのだ。

営業は気持ちで左右される職業だと思われてきたのもある。

もちろんその要素もあるのだが、
もっと、大事なことがある。

それは、売れる理由だ。

なぜ売れるのか、どうして売れないのか。

その理由が明らかになれば、教えることが可能になる。

科学や物理と同じように、
原因と結果の関係性を明確にすることで、
正しい教え方ができるのだ。

私がいまやっているのがまさにそれで、
売れる理由を掘り下げている。

営業には「たまたまタイミングが良くて売れた」ということはない。

「頑張ったから売れた」と思っていても、
本当の理由は別のところにあったりするのだ。

売れるのにはきちんとした理由がある。

それを明確にして説明できるようになれば、
部下に教えることができるのだ。

それによって、
口下手な人でも売れるようになるというわけ。

もともとは、
私のような性格の人がどうやって売れる営業マンになるかを考えてきた。

それを考える過程で、売れる根本的な理由が見えてくるようになった。

その理由がわかってくると、
今度は、それを使って指導に役立てることを考えた。

私がやっている研修はまさにそれである。

パワハラが問題視されているこの時代に、
マッチしてきたというのが私の勝手な実感だ。

あ、なんか、次の本のテーマになりそうな気がしてきた。

いずれにしても、昔ながらのパワハラ的な指導法は、
もう使えないところまで来ている。