サイレントセールスブログ

無敵の営業マニュアルの作り方(2)

さてマニュアルの作り方だが、
これはとてもシンプルだ。

私がいつもセミナーなどで伝えている、
4ステップ商談術をベースとして、
具体的なトークやツールを当てはめていくだけである。

新規からはじめる場合には、
テレアポや飛び込みなどの流れもマニュアル化していく。

ターゲット像をイメージしながら、
これを言ったらどう思われるかなどを想定し、
組み立てていく。

実際に営業をやっている人の意見を吸い上げながら、
構成していくと、
2時間くらいでプロトタイプができあがる。

あとは実践しながら微調整を行うことで、
精度を上げていく。

このマニュアル作成のセミナーは、
実際に一部で行っている。

某国営放送の研修部門で毎年行っているのがそれだ。

2日間の研修で、
初日に営業の全体像(4ステップなど)を解説して、
翌日にそれを自分の仕事に落とし込むワークをやる。

あとはそれを持ち帰ってから、
実践を通して完成させていくというもの。

これはかなり好評だ。

マニュアルを作っていく際にはコツがある。

それは「説明のためのトークを行わない」ということだ。

これもよくありがちなことだが、
商品説明をダラダラと書かれているマニュアルを
よく見かける。

これは裏を返せば、
きちんと説明すれば売れるというのが前提になっている。

でも実際はどうだろう。

どんなによどみなく説明ができたとしても、
それですべての人に売れるわけがない。

断られることも多々ある。

そんなときどうしているかというと、
切り返しトークを使おうとするのだ。

説明して、断られて、切り返して、説得する。

営業は断られてからが勝負だというセリフが
よく使われているのも、この流れが多いからだ。

もっと言うと、
説明してもきっと断られるだろうという想定から入っている。

どうせ断られる説明をすることはムダじゃないか?

私はそう考えている。

それに、説明している最中でも、
相手がそれを興味深く聞いているかというと、
多くの場合がノーだ。

人の話をさえぎることに罪悪感を持っているので、
とりあえず営業の話を「聞いてあげている」だけの人が多い。

聞きたくもない話を聞かされても、
心は動かない。

心の中では「早く帰ってくれないかなあ」と思っている。

少なくとも説明をするときは、
相手が聞く気になっていなければ意味がないのだ。

なので、まずは相手のことを知る必要がある。

つまりヒアリングから入るということだ。

聞いて(確認して)相手の気持ちを知ったうえで、
それに見合った説明をする。

自分勝手に説明を始めてはいけない。

たとえばこんな流れになる。

「いまこちらの地区で
この商品(パンフレットを見せながら)の導入状況を
調べて回っているのですが、
お宅ではお使いですか?」(ヒアリング)

このように聞くと、相手の答えは大きく3つに想定できる。

1)使っている

2)使っていない

3)わからない

だから次の営業のセリフも固定できる。

1)「使っている」

「そうですか、ありがとうございます。
なにか不具合などはありませんか?」

「ない」

「わかりました。ありがとうございました」

すでに使っていて、取り換える必要もないとわかれば、
そこにはニーズがないのでそのまま帰る。

2)「使っていない」

「そうですか。商品自体はご存知でしたか?」

ここでも「知っている」「知らない」に分かれるので、
それぞれに対応したセリフを準備する。

このように、ほぼ2択で答えられる質問をしながら、
その答えに応じてさらに質問をしていく。

「知らない」という答えに対しては、

「こちらは、△△を〇〇%節約できるものなのですが、
もしよろしければ簡単にご説明しますがいかがでしょうか?」

知らないことを確認して、
説明が必要かどうかを聞いているので、
話の流れが自然になる。

このときに、決して「説明させてください」とは言わない。

お願いして聞いてもらっても意味がないからだ。

あくまでも相手の意思で聞いてもらう方向にもっていく。

営業マンのセリフの語尾が、
「お願いします」ではなく「いかがですか?」になる。

この流れができれば、
たとえシロウトの営業マンでも答えに悩むことはなくなる。

3)「わからない」

「そうですか。どなたかわかる方はいらっしゃいますか?」

このように、相手の答えに対するセリフをすべて準備して、
お客さまと会話をする形式になっている。

そうして、相手の状況を確認してから、
それに応じた説明が必要かどうかをさらに確認していく。

ある意味で、淡々とした作業になる。

お願いするとか説得するとなると、
どうしても営業マンの感情が出てしまう。

そこに個人差が出ることで結果がばらつくのだ。

ひとつの質問に対して、
相手の答えが2~3に分かれる。

それぞれの答えに対して、また質問をしていく。

このようにセリフを組み立てていくと、
ツリー型の構成ができあがる。

私はトークツリーと呼んでいる。

人は、いきなり説明されても聞きたくない。

人は、いきなり質問されても答えたくない。

しかし、自然な話の流れの中での質問には、
ごく自然に答えてくれる。

いかに自然に聞くか?

この自然な流れをマニュアル化するのだ。

だからチェックすべきは、

唐突感がないか?
違和感がないか?
ムリはないか?

どうだろう。
いまあなたが使っている営業マニュアルを確認してほしい。

質問から入ってはいるけど、
なんだか誘導尋問のようになっていて、
営業側に都合の良い方向に持って行こうとしているなども、
不自然な流れと言える。

いきなり説明から入っているなどはもってのほかだ。

次回は、2分冊についてお話しする。