サイレントセールスブログ

狙った相手に新規でアプローチする方法

お客さまの心理を読むための唯一の方法とは、

お客さまに本音で語ってもらうようにすることである。

という前回の続きから。

と、その前に、

昨日、とてもいいことがあったので、
それを先にご紹介したい。

結論から言うと、
業界トップのN證券にて社内研修をすることが決まった。

N證券といえば、ものすごく営業力がある会社としても有名だ。

営業本を出している人や独立して研修会社を作っている人も
たくさんいる。

私もいくつか本を読んだことがあるが、
とにかく強烈な営業をしている。

そんな猛者たちが集まる会社で、
私が営業を教えることになったというのも感慨深い。

で、言いたいのはその経緯だ。

簡単に羅列すると、

3年前に私の自主開催セミナーに、
その社員の方(Tさん)が参加した。

Tさんが本社勤務になり、
先日、社内の研修を受けた。

その研修が(その人にとっては)いまいちだった。

終了後のアンケートを書いていたときに、
「ほかにどんな研修を受けたいですか?」
という問いかけに、私のセミナーを思い出した。

そこで社内研修に私のセミナーを担当者に紹介した。

私と研修担当者に同時期に電話でセッティングをして、
そして、昨日打ち合わせを行った。
(打ち合わせの場にも同席していただいた)

結果として、即決した。

そのときのTさんの行動の早さが、
まず決め手のひとつだろう。

そしてもちろん、私のセミナーの内容が、
しっかりとTさんに刻まれていたというのもある。

(優秀な営業マンに認められたのはうれしい)

でもそれよりも思ったことがある。

私が単独でN證券に売り込みに行ったとしたら、
果たして受注できるだろうか?

日本橋の一等地にでっかい自社ビルを構えている巨大企業だ。

もし仮にできたとしても、
何度もアプローチやプレゼンを繰り返して、
1年がかりでようやく成し遂げる感じになるだろう。
いやその前にあきらめるかもしれない。

それが今回は、初対面からたったの60分で決まった。

なぜか?

新規営業は、まず担当者と話ができるようになるまでが難関だ。
相手が大手であるほど、その難易度は増す。

そして、話ができるようになったとしても、
こちらを信用してもらうまでに、時間がかかる。
何度も足を運んで詰めることも多い。

その間、デモンストレーションや、
実際にその場で見てもらうことも発生する。

当然だ。

どこの誰ともわからないし、
実力もその効果も見えない研修を、
そう簡単に採用できるわけがない。

そうしたプロセスを一気に飛ばすことができたのが、
今回の結果である。

いわば、アポ取りとアイスブレイクを飛ばしたことになる。

さらには、研修の内容やその効果も、
Tさんが身振り手振りで伝えてくれたので、
商品説明やクロージングも必要なかった。

営業のステップをすべて飛ばしたことになる。

社内に紹介者がいると、
こんなに話が早いということをあらためて実感した次第である。

これは戦略としても使える。

たとえば、
ターゲットとしている会社の社員と
うまくコンタクトをとって、
そこから根回ししてもらうという作戦だ。

いきなり、社長や担当者にアプローチをして玉砕するよりも、
はるかに効率がいい。

もちろん、その分時間はかかるが、
そのような動きをいくつか同時進行していれば、
正面からは入れないお客さまにも会えるようになる。

いまの時代の営業で、
一番強いのは、口コミだ。

つまり信頼できる人からの紹介である。

紹介してもらうスタイルにシフトした営業が、
今後は伸びていくだろう。

今回の私の場合は、
そこまで戦略として練られたものではなく、
偶然が重なった結果ではあるが、
もう少し必然の要素を加えることは可能だなと思った。

というわけで、ここからが本題に入ろうか。

と思ったのだが、ここまで話をしてしまったので、
今回はこの話に切り替えたい。

新規営業をどうするかという点。

これは多くの企業や営業マンの最大の悩みでもある。

とりわけ近年では、大手企業が新規に力を入れている。

これまで中小企業が扱っていた案件にまで着手している。

私も新規営業のやり方を聞かれることが多くなった。

研修にもそれを取り入れてほしいという要望が多い。

もちろん新規にはいろんな手法があり、
世の中には効果的なものもある。

でもひとつの手法がどんな営業にも効くかというと、
そんなことはない。

自分の業界で通用しやすい方法を探す必要があるのだ。

ただ私的にはひとつの結論がある。

それは、正面から行かないこと。

いまの時代に、正面から面会を求めて行っても、
ほとんどが断られる。

電話で社長や担当者に替わってくれと言っても、
絶対と言っていいほど断られる。

リストに一律にDMを送っても、
そのほとんどがゴミ箱行きだ。

そして、たまたま会えたとしても、
その一瞬で相手の心をつかむためには、
かなりの営業力が必要になる。

つまり、正面から行こうとすると、
ほとんどが会えないし、
会えたとしてもハードルが高いということになる。

金融系の会社と話を聞いていると、
富裕層をターゲットにしたいというのをよく耳にする。

それはわかる。

でも、他の会社も同じことを考えている。

結果として富裕層には多くの営業が殺到していることになる。

そこに紛れて同じレベルで営業していてもムダだろう。

だとしたら、
他の営業マンがやらない方法でアプローチすることを考えるべきだ。

大勢の他の営業マンとは違う自分をいかに見せるか。

そこに意識を向けること。

かつて私が求人情報誌の営業をしていたときの話。

他の営業マンは、新聞の求人欄を見て、
その会社に電話をしていた。

やり方としては正解である。

新聞に求人広告を出しているということは、
そもそもニーズがあるということだ。

その会社にアプローチするのは
求人広告を扱っている営業としては手っ取り早いのである。

しかし、たいていは断られる。

同じことを考えている営業マンはたくさんいるからだ。

同業他社からも電話が殺到している。

そうなると、広告を出した会社側としては、
迷惑なことになる。

断る口調も厳しくなる。

そこで私は、他の営業マンがやらないことは何かと考えた。

新聞を見て、
小さな記事が載っていた企業に電話をすることにしたのである。

もちろんそれは求人広告ではない。

新しい技術を開発したとか、地域に貢献して表彰されたなどの
できるだけ目立たないような記事を見つけて、
そこに電話をした。

するとまずは会ってくれやすいのだ。

たとえば、新技術を開発したという記事なら、

・新聞で見ました

・新技術の開発おめでとうございます

・自分は求人誌を扱っているものです

・将来的に人材が必要になったときのために
情報だけでも知っておきませんか

こんな感じのアプローチだ。

そもそも求人広告を見たわけではないので、
ニーズがあるかどうかもわからないところからのスタートだ。

だから、ヒアリングが重要になる。

目立たない記事であるほど、
話を聞いてくれる確率は高かった。

そうしてまず会ってから、
ニーズを掘り起こすことで受注につなげていったのだ。

もちろん、時間はかかる。

でもそうしてじっくりと温めていくほど、
大きな受注になったりした。

毎日電話をしたり、飛び込み営業をするだけが、新規営業ではない。

それは、アポイントが取れる相手を探す作業に過ぎないのだ。

そうではなく、アポイントを取りたい相手に対して、
いかくアプローチするかを考えること。

そして自分が付き合いたい企業や人と仕事をすること。

それがこれから新規営業の考え方である。

ということで、今回は脱線したので、
次回また前回の続きをお話しする。