サイレントセールスブログ

目の前の人に売らない営業のススメ

目先の売上に執着しようとすると、
どうしても売りたい気持ちが先行してしまう。

まあ、毎日上司から「売ってこい!」と言われ続けていたら、
そうなるのも当たり前だ。

まわりと比べて成績が劣っていると、
あせる気持ちもわかる。

目の前のお客さまにスキあらば売ろうと試みる。

そうして売れればうれしいしホッともするが、
売れなければ落ち込んで帰りの足取りが重くなる。

その日の成果で一喜一憂する営業スタイル。

やってみるまでどうなるかわからない。

ストレスもたまるだろう。

それが営業の仕事だといえばそうかもしれないが、
あまりにも先が読めない状態が続くのは、
精神的にも良くないし、なによりも朝から憂鬱だ。

営業というのは、
頑張ればその分だけ成果が出るというものではない。

むしろ頑張りすぎることで、
売り逃してしまうこともある。

でも成果を出したい!
成果を出さなければ!と思うほど、
どうしても気合いが入り、
目の前のお客さまに売ろうとしてしまう。

本当は、もっとじっくりと向き合ったほうが
将来的には結果が出ることでも、
あせって、売り急いでいる。

なかには、すぐに成果を出さないと、
クビになってしまうという人もいるだろう。

そんな人に「売る気を見せるな」と言っても、
なかなか難しいというのもわかるし、
急に「売り込まない営業」に変えられるものでもない。

でも、当人はわかっている。

強引に売り込んでも売れないどころか、
お客さまが離れていくことを。

かと言って、売り込まなければ売れないし、
どうしたらいいのかわからない。

迷いながら客先に行くので、
トークもブレる。

さてどうしたものか・・・・?

そう悩んでいる人に、私はこんな言い方をしている。

「1件だけ売り込まない営業をしてみてください」

いままでやってきたことをいきなり変えようとするのは、
どんなに良いと思っていてもハードルが高い。

そこで、普段通りにやっているなかで、
1回だけ、トライしてみることを勧めている。

これなら、少しは気軽に挑戦することができるし、
どうせダメモトでいいからという気持ちが、
肩の力をいい感じに抜いてくれるのだ。

すると、
お客さまに余計なプレッシャーを与えることなくなり、
結果的に、これまで味わったことのない感覚を知ることができる。

お互いに警戒心がない状態での、
お客さまと営業マンとの会話が、
どれだけスムーズか!

相手との距離感がグッと縮まっているのを体感してみる。

その感覚を知るために、
とりあえず、1件だけ試してほしいのである。

そうして、うまく行くことがつかめれば、
その件数をどんどん増やしていけばいい。

売り込みしないというのが、
よくわからないという場合は、

「目の前の人に売らないようにしてください」

という。

今日はあなたに売りに来たのではありません。
だから、強引な説明もしませんし、
ムリな説得もしませんので、
安心してください。

そんな心構えだ。

じゃあ何しに来たのかというと、

「あなたに売り込みに来たのではなくて、
あなたのまわりの人で買ってくれそうな人がいないかどうかを、
確認しにきたのです」

というスタンスである。

結果的には、
商品の説明をしているのだが、
その対象者から目の前の人を除外するのだ。

これで対等の関係性を作る。

そもそもお客さまと営業マンというのは、
いびつな関係のままで話そうとしていることが多い。

会話にすらなっていないのだ。

対等に、普通に会話をするためには、
お互いの利害関係を解除する必要がある。

その手段のひとつが「目の前の人に売らない」というものだ。

私はいまでもそうしている。

その効果は次回にお話しする。