サイレントセールスブログ

相手の答えを想定した質問

営業の世界では、
仮説を立てろと言われたりする。

お客さまはこんなことを求めているのではないか?

そのように仮説を立てて、
それに向かって戦略を練るというもの。

もちろんそれにピッタリはまればいいのだが、
そう簡単に行くことはない。

また、テストクロージングというのも
テクニックとして使われたりする。

「たとえば、この商品を使うとしたら何色を選びますか?」

「もし、これを買ったら最初に誰に見せますか?」

このように、買ったときを想定してもらい、
具体的なイメージをわかせるという手法だ。

まあどちらも使い古されている感はある。

もし、私にこのようなことを仕掛けてきたら、
すぐに見抜くし、その裏を取ろうとするかもしれない。

「もし、買わないと言ったらどうしますか?」

などの逆質問をするのもいいだろう。

さて、今回は質問の話をしたい。

営業で質問というと、
「ヒアリング」のことかなと想像できる。

しかし、ここでいう質問というのは、
営業のトーク全般でのことだ。

まあ質問というよりも「確認」に近い。

私は以前、営業チームを任されたときに、
専用のマニュアルを作ったことがある。

営業チームと言っても、プロの部隊ではない。

営業未経験のドシロウト集団である。

彼らをどうしたら売れる営業にできるか?

そう考えた末に出した答えが、
お客さまに確認を繰り返しながら、
自然に売れるトークフローだ。

売り込みやお願いをさせると、
シロウトでは荷が重いし、成果にバラつきが出る。

すべてのセリフを確認作業にすることで、
余計なプレッシャーもなく進められる。

しかも、相手の答えを想定して、
それに対するセリフもすべて用意してあるので、
迷ったり悩んだりすることがない。

結果として、誰でも売ることができるというマニュアルだ。

これがわりと好評だった。

そのうえ、薄い。数ページ程度。

いま思えば、
シロウトに営業させるというテーマが生んだ副産物と言える。

すると、そのマニュアルは親会社にそのまま採用されて、
標準で使われることになった。

つまり、ベテランの営業マンにも通用するのだ。

このマニュアルの特徴は、
ツリー型の構造になっているところである。

「これはご存知ですか」

という質問をすると、相手の答えは限定される。

1)「知っている」

2)「知らない」

3)「何のことだかわからない」

だいたいこのように枝分かれする。

すると、それぞれの答えに対して、次の質問が用意されている。

その次の質問に対する答えも複数想定済みなので、
その作業を続けて行けばいい。

このように分岐しながら進めていくと、最後は、

「~ということでしたらお申込みされるほうが得ですが、
いかがでしょうか?」

「そうだね」

「お申込みはネットでもできますし店頭でもできます。
また、15分ほどお時間があれば今この場でもできます。
どうされますか?」

そして契約にたどり着く。

そこまでの過程は、すべて「確認作業」のみ。

お願いすることやごり押しすることは一切禁止。

愛想笑いもダメ。

シロウトがストレスなくできる営業スタイルと言ってもいいだろう。

このように、自分の質問に対して、
相手がどのように答えるかを
あらかじめ想定しておくこと。

それができればブレない商談ができる。

ただし、これは誘導質問になってはいけない。

相手の答えを誘導するような質問は、
すぐにバレるし警戒心を高めてしまう。

「水道の水が臭ったりしていませんか?」
(浄水器の営業マン)

「電話代が高いと感じたことはありませんか?」
(通信会社の営業マン)

「スマホゲームの文字が読めないと感じたことはありませんか?」
(ハズキルーペの営業マン!)

こんな風に来られると、私はすぐに警戒してしまう。

そしてわざと誘導されたフリをして、
話をどんどん進めていき、
最後に手のひらを返す。

なんてことも過去にやったことがある。

まあ、あまりに露骨に誘導してこられると、
ちょっとカチンと来ることもあるのだ。

その営業マンに対する戒めの気持ちもあった。

この誘導質問は、
最初に話した仮説を立てることにも通じてくる。

営業側に都合が良い方に向けがちなのだ。

売りにつながる理想の答えを要求しているのと同じこと。

誘導質問なのか確認の質問なのかは、
よく吟味して使ったほうがいい。

営業はどうしても売りたい気持ちがあるので、
ついつい誘導したくなるからだ。

あくまでもお客様目線で、
フラットな思考で考えてほしい。

質問したら相手の答えを複数想定する。

それぞれの答えに対して質問を準備しておく。

それを繰り返していくと、
クリスマスツリーのように下に行くほど広がっていく。

でも消去法で選択肢をつぶしていくと、
最後はまたひとつに戻っていく。

とまあ、こんなイメージだ。

質問で相手を追いつめていないか?

想定外の答えが出てきていないか?

そんなことを振り返りながら、
日頃のヒアリングを見直してみるといいだろう。