サイレントセールスブログ

営業とは確認作業の繰り返し

前回までは営業マニュアルについて書いていた。

そのとき、あらためて思ったのは、

営業というのは、気合いや根性で売り込むのではなく、

お客さまの気持ちを確認しながら進める作業なのだなということだ。

営業の話を聞く気もないし、
警戒しているお客さまに対して、
どんなにうまく説明をしたとしても、
受け入れてくれないのは明らかである。

むしろ一方的に説明するほど、
相手の心は閉ざされていくだろう。

そこは、こちらが根性を出して頑張っても、
越えられない壁なのだ。

営業が頑張らなければいけないのは、
その壁を強引によじ登ることではない。

相手の気持ちをねじ伏せても、
余計に関係が悪くなる。

関係を悪化させてしまえば、
その場で売れないだけでなく、
将来的にも売れないし、
紹介される可能性も消える。

もう押し売りのような営業スタイルは終わりだ。

お客さまも学習している。

一度でも不快な思いをすれば、
二度とそんな思いをしたくないと感じるのは当然のこと。

断るのに苦労させられた営業マンとは、
もう会いたくないのである。

相手の気持ちを確認しないうちに、
こちらの気持ちばかりを伝えようとしても、
決して良い結果にはならない。

大切なのは、相手の気持ちである。

自分が説明しやすいように組み立てるのではなく、
相手の気持ちを変化させながら、
それに合わせて説明するというのが、正しい営業だ。

そもそもお客さまが聞いてくれない状態というのは、
その商品に興味があるかどうかとは関係がない。

本当は興味があって聞きたいかもしれないのだ。

それでも聞いてくれないときというのは、
ほかに理由があるからである。

その理由の多くは、営業マンのなかにある。

「この営業、本当に信用できるのかな?」

「なんだかうさん臭いな」

「いい話の裏には何かがあるに違いない」

このように営業を警戒しているから聞いてくれない。

お客さまの最初の断り文句に多いのは、

・時間がない

・お金がない

がある。

でも本当に時間やお金がないのかというと、
じつはそんなことは無かったりする。

これは、言葉通りの意味ではなく、両方とも

・あなたから営業されたくない

というのが本音なのだ。

でも、それをストレートに言うことは、
お客さまも気が引けるので、
もっともらしいセリフで断っているというのが真実である。

考えてみればわかるのだが、
本当に欲しいものがあったとしたら、
時間がないからといってあきらめるだろうか?

自分が興味がある話を、
お金がないからといって聞かないだろうか?

「時間がない」「お金がない」とお客さまが言うのは、
いわば方便である。

逆に言うと、
いつもそう言われて断れている営業マンは、
最初から警戒されてしまうような言動をしているのだ。

相手の気持ちを確認する前に、
説明をしようとしていないか?

そう自問してみる必要がある。

営業マンが最初にしなければいけないことは、

売り込みではなくて確認に来たということを伝えること。

たとえば、

「このような商品をご存知ですか?」

「使ったことがありますか?」

「説明を聞いたことがありますか?」

など、商品の過去についての確認作業からはじめる。

ここで売り込みのニオイをさせてしまうと、
とたんに相手は警戒する。

この目の前のお客さまは、
自分の商品を必要としているのだろうか?

まずはその確認をしなければならない。

確認が済むまでは営業をしてはいけない。

そして、

「このお客さまにはうちの商品がピッタリだ」

と確信ができたら、はじめて「売る」という行動に出ればいい。

営業のトークを組み立ててみると、
そのほとんどが、「売り込み」ではなく「確認」の作業になる。

そこには、気合も根性も必要ない。

ましてや「お願い」することもない。

冷静に、「どちらを選びますか?」と問いかければいいのである。

決定権を相手に与えながら、
その場をコントロールしているのは営業側になっているのが理想だ。

この確認の流れが自分のなかでできると、
営業が格段に楽になる。

余計なストレスを抱えることもなくなって、
営業の確度があがってくる。

数字が読めるようになってくるのだ。

営業の仕事は、そのほとんどが確認作業である。

それが営業にとってもお客さまにとっても、
健全なビジネス関係になる。

もし、お客さまとの関係が悪いと感じたら、
それは営業マン自身に問題があると自覚したほうがいい。

お客さまは、
本当は営業マンに冷たくしたくないと思っているのだから。