営業の心得⑥ クロージングのコツ

しつこい営業は自分を追い込む

売れずに悩む営業マンのなかには、自分はクロージングが苦手だと思っている人が多いようです。最後のツメが甘いから売れない、そう思っているからでしょう。また、押しが弱いとか説得力がないなどの理由でクロージングがヘタだと思い込んでいる人もいます。

でも売れない理由の多くは別のところにあります。

そもそも説得力があれば本当に売れるでしょうか? もっとしつこく粘れば売れますか? そんなことはありませんよね。

多くの人が勘違いしているようですが、クロージングというのは断られてから何とか売ろうと頑張る行為ではありません。お願いして買ってもらう場でもないのです。

お客さまの立場で見てみましょう。

営業マンの話を聞いたけど、いらないと思ったので断りました。

しかし営業マンはすぐには引き下がりません。断られてからが勝負だと思い込んでいて、しつこく売り込んできます。

あまりにしつこいので、「もう二度と来るな!」と怒鳴って追い返しました。

こうなってしまうと営業マンも帰らざるを得ません。しかも怒らせてしまったので、その後も顔を出せなくなります。こうしてお互いの縁が切れてしまうのでした。

営業でしつこく粘るという行為自体が、自分自身の仕事を減らすことになるのです。

 

断られたら素直に帰るのが正解

では、お客さまから断られたときの対応を変えてみましょう。

試しに断られたら素直に帰るようにするとどうなるか?

もちろんその場では売れません。ただ素直に帰ることで、相手を怒らせずに済みます。お互いに同意のもとで別れることができれば、折をみてまた会うことができるのです。

営業は目の前の人すべてに売ろうとしてはいけません。そもそも売れるはずがないのです。相手にだって都合があるのですから。

「今はいらないけど近いうちに買おうかな」などと思っている相手に、強引に「今買ってくれ!」とごり押ししたら、気を悪くしてその後も買ってくれなくなります。「今」に執着しすぎると、「そのうち」のニーズを逃してしまいます。

お客さまから断られたら、素直に引き下がるのが正解です。スッキリと帰る姿を見せることで、その後の付き合いをキープすることができます。そしてニーズが発生したときに気持ちよく買ってもらえばいいのです。

売れている営業マンというのは、決して強引な説得などはしません。今は売れないけどそのうち売れそうなお客さまをたくさん抱えているのが特徴です。

あなたは、いつでも会いに行けるお客さまを何人持っていますか。

売れないのはクロージングがヘタだからではありません。それ以前に、信頼関係ができていないことが原因です。アイスブレイクやヒアリングを見直してみると、案外簡単に答えが見えてきます。

 

営業の心得① そもそも営業ってどんな仕事なの?
営業の心得② 新規営業のコツ
営業の心得③ アイスブレイクのコツ
営業の心得④ ヒアリングのコツ
営業の心得⑤ プレゼンテーションのコツ
営業の心得⑥ クロージングのコツ
営業の心得⑦ クレーム処理のコツ
営業の心得⑧ 営業力を身に付けるコツ