営業の天才などいない
組織のなかには、ダントツで売れている営業マンもいます。そんなに努力しているようには見えないのに、なぜかいつもトップにいるような人。
私は、そんな人たちに憧れていました。
「どうしたら売れるようになれるんですか?」
と機会を見つけて質問していました。
すると、決まってこんな答えが返ってきます。
「そんなのお客さまと仲良くなれば自然に売れるよ」
「相手の話をとことん聞くことだね」
「最初の雑談をうまくやることが秘訣だよ」
まあそうなんでしょうけど、私が欲しかったのはもっと具体的な答えでした。
いろんな人に聞きましたが、誰一人として納得のいく答えが帰って来なかったことを思い出します。そしてそんな人たちはこう呼ばれていました。
「あいつは天才だから」
売れる理由が当人でもわからないので、天才として処理するしかないのです。
それで、なんとなく納得していました。
しかし、実際には売れている人はきちんと売れるべきことをやっていたのです。
売れる人と売れない人の決定的な違いは「マインド」
いつでもどこでも、たとえ商品や会社が変わっても売れる。そんな万能の営業力を身に付ければ、怖いものはありません。自信を持って仕事ができます。
さて、そんな売れる人になるにはどうしたらいいのか?
私は、知識やテクニックよりも、「マインド」が重要だと考えています。つまり考え方です。営業は生身の人間とやりとりをする仕事です。相手が機械ではないので、当然ながらこちらが思った通りに動いてくれません。なので、どんなに売れる法則を駆使したところで、対応できないこともあります。
重要なのは、相手に応じた最適な判断です。いま何をすべきか。反対にいますべきでないことは何か。いわば営業をするうえでの軸の部分。この軸を基準にして営業を展開すれば、必ず正解に向かっていくというもの。
例えば、新規のお客さまと会うときに、必要なマインドを見てみます。
まだ、会ったこともないので、相手がどんな人かはわかりません。そしてそれは相手も同様です。むしろ営業に対して警戒していることでしょう。
そこで、営業として最初に考えるべきことは、「いかにして相手の警戒心を取り除くか」の一点です。他のことは考えません。当然、どう売ろうかなどと考えてはいけないのです。
そしてひとつがクリアになったら、次の段階に進みます。
例えばヒアリング。ヒアリングでは、相手の正確な状況を聞いて、まずは売るべき相手かそうでないかを判別します。売るべき相手だとわかれば、どう売るかというマインドにシフトします。そのように、ゴールへの階段をひとつずつ確実に登っていくことで、結果につなげていくのが売れている人の思考です。
じつは売れている人というのは、そうした一連の作業を、無意識でやっていたのです。自分では意識していないので、それを人に教えられるはずもありません。
天才と呼ばれている人が無意識でやっていることというのは、案外単純なことです。誰でもできることなのです。
営業力を身に付けるには、天才の言動を真似するよりも、営業の各プロセスにおける正しいマインドに切り替えるだけでいいのです。
営業の心得① そもそも営業ってどんな仕事なの?
営業の心得② 新規営業のコツ
営業の心得③ アイスブレイクのコツ
営業の心得④ ヒアリングのコツ
営業の心得⑤ プレゼンテーションのコツ
営業の心得⑥ クロージングのコツ
営業の心得⑦ クレーム処理のコツ
営業の心得⑧ 営業力を身に付けるコツ