サイレントセールスブログ

新聞記事でアポ取りをしよう

リクルートに入って最初にやらせれたことは、
テレアポだった。

リストを渡されて、電話をかけまくるアレだ。

見よう見まねで電話をするのだが、

「もしもし、リクルートの……」

と切り出したところで、

「ああ、うちはリクルートお断りだから」

と言ってガチャンと切られること数回。

なんだか世間には嫌われているらしいことに気づく。

その理由は、リクルートからの電話が多いからだ。

私が在籍していたのはリクルートの本体だが、
ほかにも、子会社や販売会社もあって、
それらがみんな

「リクルートです」

と名乗って同じお客さまに電話をしている状況だった。

そりゃあ先方にとっては、「またか」となる。

うまい営業マンは、それでも言葉巧みにアポを取っていくのだが、
私はそうはいかなかった。

自分がとても迷惑な電話をしているのではないかと思い、
テレアポにも気持ちが入らない。

当然ながら結果も出なかった。

使い古されたリストに電話をするのは、
効率が悪いのではないかと思った。

そこで、私は方針を変えた。

当時は、求人情報誌の広告営業だったので、
人を募集しているところを探す作業でもあった。

なので、新聞の折り込みチラシの求人欄とか、
ライバル誌に載っている会社などは、
格好のターゲットである。

その日の新聞を買ってきて、
求人チラシに載っている会社に電話をし始めた。

すると、またしても

「しつこいな、リクルートはお断り!」

という冷たい反応が返ってくる。

これも考えてみれば当然のことだった。

どの営業マンも考えていることは一緒なのだ。

求人広告を出した会社にしてみれば、
本当は、応募者からの電話を待っているのに、
広告を出してすぐに他の広告会社からの売り込みばかり来たら、
それはやっぱり怒りたくなる。

この作戦もダメだなと思った。

そこで、私は考えた。

他の営業マンから電話が行かないけど、
求人がありそうな会社をどうやって探すか?

求人をするということは、
人手を欲しがっているということだ。

どんなときに人手が欲しいかというと、

・人手不足を補うとき(補充)

・事業を広げるとき(追加)

がメインとなる。

私は、事業を広げるときに焦点を当ててみることにした。

新聞を見る。

しかも一般紙ではなく、専門紙。

工業新聞とか、産業新聞などだ。

そこにも求人欄はあるが、
私が探しているのは別のところ。

新製品を開発した記事や、
新しい取り組みを始めたという記事を見ていった。

そして、そこで紹介されている会社を調べてから、
電話をし始めたのだ。

「新聞記事を見てお電話しています。
新開発、おめでとうございます!

つきましては、
今後、人員を増やすことも検討されているのかと思いまして、
お電話しています」

こんな感じで電話をした。

すると、これまでのような冷たい対応をされることもなく、
丁寧に応じてくれたのだ。

そしてアポが取れるようになった。

実際に会いに行っても、
そもそも急いで人材が欲しいというわけでもないので、
今後のことについてじっくりと話ができて、
将来の受注につながる関係性ができるようになった。

今後、その会社で、
新開発した商品をどう広げていくかという話になったとき、
人材を確保する手段として事前に提案ができている状態になっている。

そうなれば、信頼度も高くなり、受注額も大きくなっていく。

現状に目に見えるニーズがないときにこそ、
アプローチすべきだとそのとき思った。

もちろん、ひとつの記事を読んで1社に電話するというのは、
効率が悪いように思うかもしれない。

しかし、私はこのやり方を選んだ。

なによりも冷たくされないで済むし、
じっくりと話がしやすいからである。

まわりの人とちょっと違う行動をしてみると、
案外うまくいくこともある。

アポ取りの電話は冷たく断られるのが当たり前と思っていると、
別の方法を探る工夫をしようとは考えない。

でも、なぜ冷たくされるのかを考えてみると、
それは、営業の仕方のせいだったことに気づく。

アポ取りひとつでもまだまだ工夫の余地はあるのだ。