サイレントセールスブログ

常識をうたがう目を持とう

私たちは、日々、常識にならって生活している。

というとちょっと大げさだが、
常識という暗黙のルールはとても便利なものだ。

営業の場面でも常識がたくさんある。

朝のあいさつは「おはようございます」だが、

それ以外のときは社内では「お疲れさまです」だし、

社外でお客さまと会うと「お世話になります」を使っている。

正直、そんなに疲れてなくても、
「お疲れさま」を当たり前のように使う。

そこに疑問は持たない。

なぜか?

それはいちいちどんなあいさつ言葉にしようかなどと
考えていたら面倒だからだ。

この人は疲れているのかな、
だったらお疲れさまと言うべきだけど、
疲れてないとしたらどんなセリフであいさつしようかな???

決まり文句がないと言葉に迷ってしまうのだ。

そんな細かいことよりも、
あいさつするというコミュニケーション効果を優先する。

それがあいさつ言葉で、営業の常識になっている。

だからそれを今さらひっくり返そうとは思わない。

ただ疑問を持つことはお勧めしたい。

何も考えずに慣例に従ってばかりでは進歩がないからだ。

営業マンが当たり前のように使っている「お世話になります」を見てみる。

このセリフの真意は、

お客さまに対して
「いつもお世話になっています。ありがとうございます」
ということだろう。

普段から仕事を通して世話になっている相手に対するものだ。

それがだんだんと、
まだ世話になっていない(取引していない)相手に対しても
使うようになってきた。

そして、まだ顧客にもなっていない初対面の相手にも、
使い始めている。

新規開拓のテレアポで、
いまだに第一声が「お世話になります」が多いというのもそうだ。

冷静に考えてみれば、
まだ付き合いもない相手だから世話になっているはずがない。

その相手にも、営業だからといって「お世話になります」を使うのは
変なのである。

営業の常識で当たり前のように使っている営業マンは、
何の違和感もない。

しかし、お客さまサイドは強い違和感を持っている。

このギャップが、仕事の妨げになっていることは実は多い。

営業マンは笑顔でいるのが当たり前?

笑顔は親しみを持ってもらえる?

いつでも営業スマイルでいろ?

営業と笑顔の関係も、変な常識がある。

たしかに既存のお客さまに対しては、
にこやかな表情のほうが感じがいいだろう。

しかし、初対面の人に対しても、
笑顔で接したほうがいいというのには疑問がある。

知らない人がにこやかに近づいて来たら人はどう思うか?

親しみよりも、警戒心が先に立つ。

なんか怪しい人が来たぞと、身構える。

営業=笑顔というのも、常識から外したほうがいいのだ。

営業だからお客さまの言うことは絶対だ!

これにも疑問を持ちたい。

お客さまと営業とは師弟関係ではない。

ドライに言うと、単なるビジネス上の利害関係である。

利があれば付き合うし、害があれば付き合わない。

それが本来の姿だ。

わがままなクライアントに振り回されて、
業務に支障が出るようならそれは害になる。

ビジネス上でマイナスになるのなら、
それは迷わず排除すべきなのだ。

お客さまの言うことだから何でも聞かなければならない、
という常識は捨てるべき。

仕事は断ってもいい。

相手が間違っていたら叱ってもいいのだ。

私もたまに使っていた。

「社長、それはマズいんじゃないですか?」

「どうしても急ぎというのでしたら、特急料金がかかりますがいいですか?」

「これが続くのでしたら今後はお付き合いできません」

ときには強い口調になったこともある。

ただ、そうすると不思議なくらいに打ち解けたりもするのだ。

もちろん、ケンカ別れになったこともあったが、
それは会社対会社の話で、
その後も個人的に飲みに行ったりもしていた。

常識の範囲内での対応というのは、
当たり前の世界の中でしかない。

いわば安全地帯だ。

不可はないが、大きな可もない。

しかし常識の範囲を超えると、
大きく信頼に傾くことも多いのだ。

ときには営業らしくない行動をとってみよう。

「今日は売りに来たのではありません」

そんなセリフを言ってみよう。

お客さまの反応が違ってくるはずだ。

いまの営業マンに求められているのは、
他の営業マンとの違いを出すことである。

だって扱っている商品はほとんど同じなのだから。

営業で差をつけていくしかない。

常識の範囲内で他の営業マンと同じことをやっていても、
お客さまはこちらを選んでくれない。

営業っぽくない営業マンが、
じつは求められているのだ。

ちょっとだけ普段と違う行動をしてみよう。

少しだけ冒険してみることをおススメする。