サイレントセールスブログ

空気は自らつくるもの(2)

先日、個人コンサルをしたときのこと。

話題が場の空気の話になった。

その人は、いつも緊張してうまく説明できなくなるらしい。

詳しく聞くと、

上司と一緒に客先に行くと、
まずその上司が先方と雑談を始める。

和やかな雰囲気になる。

じゃあそろそろということで、
その人が説明をする順番になるのだが、
そこで場の空気が一気に重くなってしまうらしい。

どうやら自分がちゃんと説明することで頭がいっぱいで、
上司とお客さまとの雑談も耳に入っていなかった。

会話が途切れて、

「では詳しくご説明させていただきます」

と言って話し出すと、場の空気が一変してしまう。

せっかく場の空気が和らいでいたのに、
それを自ら壊してしまっていたのだ。

でもまあ状況はよくわかる。

上司の前でヘタなことはできない。

そこで緊張してしまうのもよくあることだ。

ではそんなときどうすればいいのか?

まず、お客さまは上司とだけしゃべっている。

意識のベクトルがこちらには向いていない。

いわば、空気が自分以外のところでできている状態だ。

そこにいきなり割り込んでも空気を壊すだけある。

だからまずは自分とお客さまとの空気を作る必要があるのだ。

それには、説明の前にいくつかの会話を心がける。

「あとは担当の者に説明させます」

とこちらに話を振られたら、
すぐに説明を始めるのではなく、

「ではご説明させていただきますが、
その前にひとつだけ確認させてください。

○○に関してはすでにご存じということでよろしいでしょうか?」

このように、質問を投げかけることから始める。

質問すれば相手は答えてくれる。

そこに会話が生まれる。

すると、自分とお客さまとの間に空気ができるのだ。

このひとことを入れるだけで、
その後の説明がスムーズになる。

説明の前に、質問して答えてもらうことを心がけよう。

そしてもうひとつ。

こちらはちょっと高度なテクニックになる。

上司とお客さまとの雑談の内容を引き継ぐようにすること。

たとえば、先日ふたりで飲みに行ったときの話をしていたとしたら、

「今度はぜひ私も一緒に連れて行ってください!」

など、ふたりの会話を使うようにする。

そうすることで、一連の流れができて、
スムーズに会話の輪に入ることができる。

お客さまの視線をこちらにも向けさせるのだ。

もちろんそのためには、ふたりの会話を注意深く聞いていなければならない。

次に自分が説明する内容ばかりを考えていると、
人の会話が耳に入らなくなるので、
集中して聞く姿勢が必要になってくる。

スピーチのうまい人を観察すると、
同じことをやっていることが多い。

前の人の話を冒頭で使ってから自分の話に入っている。

ある意味で、前の人が作った空気を利用しているのだ。

これを最初にやるだけで、

・相手が聞きやすい雰囲気になるのはもちろんのこと

・アドリブで応用が効くと思われて

・(人の話を聞く余裕があるので)落ち着いていると感じてくれる。

評価も上がるというわけだ。

これが雑談力である。

なにも面白い話ができることではない。

話術に長けていなくてもいいのだ。

口下手でもその場の空気を作ることはできる。

営業が失敗しているケースは、
この空気感をうまく作れていないことが多い。

ぜひこの点を意識して商談に臨んでみることをお勧めしたい。