サイレントセールスブログ

なぜ彼には仕事の依頼が来るのか

先日、講演を聞いていたときのこと。

2名の講師が連続で話をしていた。

どちらも同じくらいのキャリアの持ち主。

話もわかりやすくてとても勉強になった。

客席の反応も同じくらい上々だった。

しかし、その後が違っていた。

A講師には、
講演後すぐに参加者が名刺交換を求めてきて、
なにやら相談をしていた。

B講師も、
名刺交換は求められていたが、
相談というよりも講義内容に関する質問が主だった。

一見すると同じような感じだが、
その後が大きく違う。

A講師にはコンサルの仕事がいくつか入ったのに対して、
B講師には声がかからなかったのだ。

この違いは何か?

私が見たところ、
それはゴールをどこに置いて話しているかの違いだった。

B講師は、目の前に来ている参加者に対して、

「こうしたらうまくいきますよ」

「こんなやり方をお勧めしますよ」

と具体的な解決法を解説していた。

もちろん、それは正しいことである。

参加者の満足度も高い。

講演後のアンケートでも、

・さっそくやってみようと思った

・今まで間違っていたことに気づいた

・目からウロコだった

という感じ。決して悪くはない。

だから、B講師自身も満足していた。

一方でA講師はというと、

もちろん、ノウハウも解説しているが、
それよりも、自身の成功事例を解説する時間が多かった。

ただ、それは自慢するというよりは、
最初はこんな課題を抱えている会社でもうまくいく方法はあるんだよ、
と伝えるものだった。

似たようなことで悩んでいる人には当然刺さる。

その上で、

「こんな未経験の人でも一人前になりますよ」

「私はその手助けをしているだけですよ」

「一定期間を過ぎればあとは自分たちだけでできますよ」

こんなメッセージを散りばめていた。

現状の悩み事を解決するのがB講師なら、

A講師は、未来の大きな悩み事を解決しようとする感じ。

ここに差があったのだ。

ゴールの設定が違っていた。

その結果、

A講師には、
「うちの課題も解決してもらえるかを聞いてみよう」
となるのに対して、

B講師には、
「とてもいい話をありがとう」
で終わってしまっていたのだ。

これは営業も同じこと。

その場の課題を解決することをゴールにしているか、

それとも、もっと長いスパンで見た課題に向かっているか。

たとえば、リフォームの営業の場合。

雨漏りの修繕をするのが、その場の課題だとしたら、

将来もっと大きな台風が来ても大丈夫なように、
ここで根本的に直しておきませんか。

そうすればこの先ずっと安心して暮らせますし、
その都度修理していくよりも安くなりますよ。

というような提案ができる。

前者のゴールは、雨漏りの修繕だか、

後者のゴールは、安心して暮らせることだ。

もっというと、

前者は「修繕屋」で後者は「安心できる住まいづくりのお手伝い」

という感じになる。

自分の商品価値はどこなのか?

自分は何を提供しているのか?

それを考えている人とそうでない人とでは、
大きな差が出てくるだろう。

そんなことを思わせてくれた講演だった。