営業の現場では、とにかく「売る」ことが優先されがちだ。
値引きして売ったとしても、結果は売れたことになる。
売れると上司から褒められる。
だから、あまり定価を意識せずに売ろうとする。
値引きというのは、利益を直接削ることになるので、
実際のところは最終手段にしておきたい。
しかし営業マンによっては、初手で値引きの話を持ちかける人もいる。
値引けば単純にお客さまが喜ぶので、ラクだから。
でも経営者からすると、できるだけ定価に近い値段で売って欲しいのだ。
ということで前回のつづきから。
価格交渉に持ち込まれると、
営業としては値引きするしか選択肢がなくなるので、
商売としては不利になる。
だから、できるだけ交渉されないようにしていきたい。
どうするか?
この商品・サービスは安い!と思ってもらえればいいのである。
「でもうちの商品は他社と比べて高いんですけど・・・」
そんなことはよくあることだ。
それでも「安い」と思ってもらうことは可能である。
そもそも商品・サービスというのは、
それを使うことによって何らかのメリットがあるものだ。
・従来よりも便利になる
・従来よりも時短になる
・従来よりも精度が上がる
・従来よりも安心できる
など、生活や仕事の効率をあげてくれる。だから買う。
ライバル他社との比較の前に、
まず、自分の商品にはどんなメリットがあるのかを、
あらためて見てみることが重要だ。
メリットを見るときにはポイントがある。
・どれくらい儲かるか
・どれくらい損が防げるか
この2点だ。
つまり定価以上の儲けが発生するものなら、
喜んで買ってくれる。
もしくは、買う金額以上の損害が防げるのなら、
それも利益と考えることができる。
言い換えると「投資」ととらえてもらえたら、
定価で売りやすくなるということだ。
逆に「浪費」ととらえられてしまうと、
値引き交渉が始まってしまう。
じつはほとんどの商品・サービスというのは、
「投資」に置き換えることができる。
たとえば、パソコン。
ゲームや遊びで使うだけなら浪費になるが、
仕事をするための道具なら、お金を生み出す機械となる。
→「処理速度が上がれば利益も上がりますよ」
たとえば、クルマ。
趣味として使うだけなら浪費だが、
お客さまを乗せることを目的とするなら、
高級車でも投資となる。
→「お客さまからの信頼度が上がれば、注文に結びつきやすいですよ」
同じものでも、その位置づけを変えるだけで投資物件となり、
それによって値引き交渉をさけられる。
このときに重要なのは、
商品・サービスの機能を説明することではない。
この商品・サービスを使うことで、
目の前のお客さまにどれくらいのメリットを与えられるか。
そこに着目すること。
パソコンを買いにきたお客さまがいたら、
「何のためにパソコンを検討しているのか?」
これを聞くことだ。
「前のやつが壊れたから買い直したいと思って・・・」
「そうなんですか、ちなみにパソコンを何に使うのですか?」
「ネットとかゲームとかですかね」
「なるほど、ほかにお仕事で使ったりもしますか?」
「はい、会社の仕事を家でやったりもします」
「それはどんな作業なのですか?」
「主に画像処理ですね」
「なるほど、では処理速度が速いほうが良さそうですね」
「そうですね」
このような会話になれば、
少し高めの高速マシンを提案することもできる。
「高いね」
と言われても、
「その分、作業効率があがってより多くの仕事がこなせるので、
こちらのほうがお得ですよ」
このように返答できる。
ロジックとしては、
パソコンに少しお金をかけたほうが、
結局は儲かりますよ。
という感じ。
そのためには、相手はどこにメリットを感じるのかを
ヒアリングする必要がある。
私がよく言う「裏ニーズ」の引き出しだ。
お客さまに「安い」と思ってもらうためには、
この裏ニーズが必須になるのである。
この辺の話はまた次回にする。