サイレントセールスブログ

定価で売るのは当たり前(2)

営業の現場では、とにかく「売る」ことが優先されがちだ。

値引きして売ったとしても、結果は売れたことになる。

売れると上司から褒められる。

だから、あまり定価を意識せずに売ろうとする。

値引きというのは、利益を直接削ることになるので、
実際のところは最終手段にしておきたい。

しかし営業マンによっては、初手で値引きの話を持ちかける人もいる。

値引けば単純にお客さまが喜ぶので、ラクだから。

でも経営者からすると、できるだけ定価に近い値段で売って欲しいのだ。

ということで前回のつづきから。

価格交渉に持ち込まれると、
営業としては値引きするしか選択肢がなくなるので、
商売としては不利になる。

だから、できるだけ交渉されないようにしていきたい。

どうするか?

この商品・サービスは安い!と思ってもらえればいいのである。

「でもうちの商品は他社と比べて高いんですけど・・・」

そんなことはよくあることだ。

それでも「安い」と思ってもらうことは可能である。

そもそも商品・サービスというのは、
それを使うことによって何らかのメリットがあるものだ。

・従来よりも便利になる

・従来よりも時短になる

・従来よりも精度が上がる

・従来よりも安心できる

など、生活や仕事の効率をあげてくれる。だから買う。

ライバル他社との比較の前に、
まず、自分の商品にはどんなメリットがあるのかを、
あらためて見てみることが重要だ。

メリットを見るときにはポイントがある。

・どれくらい儲かるか

・どれくらい損が防げるか

この2点だ。

つまり定価以上の儲けが発生するものなら、
喜んで買ってくれる。

もしくは、買う金額以上の損害が防げるのなら、
それも利益と考えることができる。

言い換えると「投資」ととらえてもらえたら、
定価で売りやすくなるということだ。

逆に「浪費」ととらえられてしまうと、
値引き交渉が始まってしまう。

じつはほとんどの商品・サービスというのは、
「投資」に置き換えることができる。

たとえば、パソコン。

ゲームや遊びで使うだけなら浪費になるが、
仕事をするための道具なら、お金を生み出す機械となる。

→「処理速度が上がれば利益も上がりますよ」

たとえば、クルマ。

趣味として使うだけなら浪費だが、
お客さまを乗せることを目的とするなら、
高級車でも投資となる。

→「お客さまからの信頼度が上がれば、注文に結びつきやすいですよ」

同じものでも、その位置づけを変えるだけで投資物件となり、
それによって値引き交渉をさけられる。

このときに重要なのは、
商品・サービスの機能を説明することではない。

この商品・サービスを使うことで、
目の前のお客さまにどれくらいのメリットを与えられるか。
そこに着目すること。

パソコンを買いにきたお客さまがいたら、

「何のためにパソコンを検討しているのか?」

これを聞くことだ。

「前のやつが壊れたから買い直したいと思って・・・」

「そうなんですか、ちなみにパソコンを何に使うのですか?」

「ネットとかゲームとかですかね」

「なるほど、ほかにお仕事で使ったりもしますか?」

「はい、会社の仕事を家でやったりもします」

「それはどんな作業なのですか?」

「主に画像処理ですね」

「なるほど、では処理速度が速いほうが良さそうですね」

「そうですね」

このような会話になれば、
少し高めの高速マシンを提案することもできる。

「高いね」

と言われても、

「その分、作業効率があがってより多くの仕事がこなせるので、
こちらのほうがお得ですよ」

このように返答できる。

ロジックとしては、

パソコンに少しお金をかけたほうが、
結局は儲かりますよ。

という感じ。

そのためには、相手はどこにメリットを感じるのかを
ヒアリングする必要がある。

私がよく言う「裏ニーズ」の引き出しだ。

お客さまに「安い」と思ってもらうためには、
この裏ニーズが必須になるのである。

この辺の話はまた次回にする。