サイレントセールスブログ

空気は自らつくるもの

空気を読みすぎて疲れてしまう女性が主人公の
ドラマ「凪のお暇」は面白かった。

もちろん役者さんたちの演技も良かったが、
セリフがきちんとしてるところがいい。

いろんなドラマをみていると、
ときどき、いいこと言ってる風の口調で、
たいした内容じゃないセリフのときがあったりする。

私はそれをみるとガッカリしてしまう。

その点、凪は良かった。
脚本がしっかりしているのだろう。

さて今回は、その空気の話。

よく営業の場面で、

「空気を読め」とか「空気を変えろ」とか「空気を和ませろ」などと
言われることがある。

お客さまと会話をするときに、
お互いに緊張している状態だと、
どうしても話がうまくいかなかったりする。

その緊張した空気を和らげてから仕事の話に入れという意味だ。

でも空気は目に見えないものである。

その見えないものを変えるというのは、
考えてみると難しそうだ。

初めて訪問する会社での打ち合わせのシーン。

広い会議室の大きなテーブルを前にして
ポツリと座って待っている。

なんとかうまく契約までもっていきたい、
などと考えていると余計に緊張する。

すると先方が部屋に入って来た。

役員を含めて5名!

それぞれと名刺交換をして着座する。

緊張感が漂う場面だ。

先方も品定めをするかのようにこちらを見ている。

ここで、
「ではさっそく・・・」と仕事の話を始めても
たいていの場合はうまくいかない。

こちらもガチガチになってうまく説明できないし、
相手も、腕組みをしたまま黙っている。

最後まで説明しきっても、

「わかりました。何かありましたらこちらから連絡します」

と言われて終了。

もちろん、その後の連絡などもない。

商談は失敗に終わる。

私はこんな経験が何度も何十回もあった。

そのたびに思った。

もっと場を和ませる話術があればな、と。

でも、必要なのは話術ではなかったことに、
後々気付くことになる。

そう空気の話。

ちなみにいま妻と一緒にアメリカの連続ドラマを観ている。
「Good Wife」というヤツだ。

そこにたまに出てくる破天荒な女性弁護士が、
私はとてもお気に入り。

こんなシーンがあった。

こちらサイドが責められる場面で、
相手が対面するなり話し始めると、

突然
「何か飲み物はいかが?」
と言い出す。

話の腰を折られてぶぜんとしながら、
相手は「いらない」と言ってすぐに話し出すと、

「そちらの方はどう?」
と、もう一人の相手に話をふる。

同じく「いらない」となって、
改めて話し始めたところで、今度は、

「じゃあ、私は頼むわね」

と言って、電話でコーヒーを注文し始める。

そのあと、
何度も途中でさえぎられて切れ気味の相手に対して、

「で、何の話でしたっけ」

と言う。

もちろん、ビジネスマナー的にはよろしくないが、
それでどうなったかというと、

その場を「自分の空気」に変えたのだ。

当人は天然なキャラ設定だが、
もしかしたら意図的にやっているのかなとも思わせる。

そうだとしたら、かなりのやり手だ。

営業の場面でも、
自分色の空気に染めれば商談もしやすくなる。

ペーシングという相手に合わせる手法もあるが、
それよりも、自分側に巻き込んだ方が結果が出やすい。

理想は、相手に心地よくなってもらいながら、
営業マンがその場をコントロールしている状態。

そうなったときは、たいていうまくいく。

そこで必要なのが、「雑談力」だ。

自分の世界に引っ張り込む。しかも自然に。

そんな雑談の力を次回はお話ししたい。