私がスカイプで個人コンサルをやっている人から、
こんな内容のメールが来た。
(Sさん、ネタとしてちょっと拝借します!)
新しい支店に異動になって2ヶ月目。
引継ぎ作業で終始していたが、
ちらほらと新しい案件が出てきたとのこと。
ところがその案件を最後は上司が決めてしまうらしいのだ。
もちろん手柄を横取りするわけではないが、
自分で決めさせてもらえずにちょっとガッカリしている様が、
メールから読み取れた。
まあ、よくあることである。
部下がおいしそうな案件を持って帰ると、
それを見た上司はなんとか成約させたいと思う。
そして自分が行ったほうが成約率が高いとなると、
つい、しゃしゃり出てしまう。
部下に任せた方が成長するのはわかっているが、
どうしても、部署内の数字を上げたい気持ちに勝てずに、
自分が前に出てしまうのだ。
その気持ちはわからんでもない。
それよりも、私が注目したのは、
異動して2ヶ月目で、
彼がお客さまの案件を聞き出せているという点である。
たくさんの訪問先を抱えているので、
接触回数は1件につき1~2回だ。
それで相手のニーズを聞き出すというのは、
短時間で信頼を得られている証拠である。
ちなみに彼は、
最初は、お客さまとの会話が苦手で、
雑談などもうまくできずに悩んでいた。
そもそも営業という仕事に対して、
お客さまに申し訳ないことをしているのではないかという、
罪悪感的なものすら持っていた。
だから何をするにも自信がなくて、
おっかなびっくり営業していた感がある。
そんな彼が、
引継ぎをしながらお客さまと会話をして、
うまくニーズを引き出すことができていることを、
私は高く評価した。
人は、信頼できない営業には、
決してニーズの存在を知らせないものだ。
Sさんはきちんと相手の警戒心を解いたうえで、
きちんとヒアリングができていた。
だから、お客さまは心を開いてくれたのだ。
そして信頼されたうえでニーズ(案件)を聞き出すことができれば、
あとはそれほど難しいことではない。
(とくに上司が出て来なくても決まる可能性は高い)
その案件が成約できたのは、
ほぼSさんの力である。
だからもっと自信を持っていいのだ。
さてここからが今日のテーマになるのだが、
お客さまからの信頼というのは、
そう簡単に得られるものではないのは事実。
ただ、だからといってじっくり時間をかけなければ、
信頼関係は作れないかと言ったらそんなこともない。
Sさんのように、
数回の接触で信頼されることも可能である。
もっというと一瞬で信頼されることもできるのだ。
その秘訣は、営業らしくない行動を取ったとき。
営業マンの行動の原点は、
売り上げを上げることである。
では、そんな営業マンが
売り上げにつながらない行動をとったらどうなるか。
たとえば、
ライバル他社の商品を勧めてくる営業マン。
自分の売上にならないどころか、
ライバルの売上のために動いている人を見て、
お客さまはどう思うだろうか。
なんてバカなヤツと思うか?
おそらくそうではない。
この営業マンは、
お客である自分のためを思って動いてくれている。
そう思うのである。
するともう一瞬で信頼できる存在になる。
この営業マンは、自分のことよりも、
まずはお客さまのことを優先する人なんだと。
ポイントは、
自分の売上を優先する営業マンだと思われるか、
それとも、お客さまの利益を優先する人だと思われるかの違いである。
この違いは雲泥の差になる。
前者は、あまり来てほしくないと思われ、
後者は、歓迎される存在になれる。
ほかにも、
「今日は売りません」
と営業マンが言ったらどうだろう?
私ならちょっと興味がわく。
これも営業らしくない言葉だからだ。
これからの営業は、
いかに営業らしくない行動を取るかがポイントになってくる。
そして、それが信頼への近道なのだ。