営業というのは、気持ちの浮き沈みが激しい仕事だ。
売れているときは気持ちいいし、売れないときはツライ。
とくに売れない時期というのは、
あれこれ考えることがとても多くなる。
なぜ、自分だけ売れないんだろう。
トークを変えてみたらいいのかな。
このツールだと通用しない気がする。
もっと訪問件数を増やさないとだめだ。
売りたい気持ちが強いと相手は引いてしまう。
みんなどうして売れるんだろう。
食事をしているときも、寝る前も、
いつも営業のことばかりを考えている。
そして、いつも結論が出ずにモヤモヤしている。
はやくそんな状況から抜け出したい!
少しでもいいから売れるようになりたい!
売れない時期が長いほどそう思っているはずだ。
で、そのときは突然やってくる。
ひとつ売れた!
あ、また売れた!
売れるときというのはなぜか連続で起こる。
売れない壁を乗り越えた瞬間だ。
正直、ホッとする。
これで上司からも詰められないで済む。
まわりの目も穏やかになる。
何よりも暗闇から抜けることができたことがうれしい。
その後もしばらくは売れる状態が続く。
安定期に入るのだ。
扱う商品にもよるが、
売れることで仕事が増える。
打ち合わせや納品など、
売れてからの作業が発生するからだ。
売れない時期は、そんな作業をする必要もないので、
ひたすら売るための活動に終始していた。
問題はそこなのだ。
ある日突然売れ始める。
そして連続で売れる。
これは、なぜかというと、
売れるコツがつかめたというのが大前提なのだが、
これまで営業してきたお客さまの機が熟してきたというのが、
本当のところだろう。
つまりタネをまいて手入れをしてきたからこそ、
あちこちの畑で実がなってきたのだ。
そこで収穫作業がはじまる。
丁寧に洗って梱包して出荷する。
連続で売れているほど、その作業でいっぱいになる。
その間、新しい種まきや手入れをしなくなる。
そして、一通りの作業が終わると、
ぱったりと実ができなくなるというわけだ。
営業でも、売れ始めて安定期に入ったときがじつは危ない。
売れているので不安な気持ちもなくなる。
切羽詰まっていないので、新規の種まき作業にもそれほど力が入らない。
やはり、売る作業のほうが楽しいからだ。
でも、種まきを定期的にやっていなければ、
そのうちネタ切れを起こして売れない時期がやってくる。
売れなくなって慌てて種まきをはじめても、
手遅れになることが多いのだ。
仕事が安定している時期だからこそ、
新規の種まき作業もルーティーンでやらなければいけない。
そしてそんな時期にまいた種は、
大きく育つことが多い。
なぜかというと、
すぐに育てようとしていないからだ。
いまいま仕事が回っているから、
それほど新規の案件に執着しないで済む。
すぐに売らなきゃという気持ちが減り、
そのうちに売れればいいやという接し方になる。
お客さまとしても、
そういう営業マンのほうが安心して付き合える。
結果として、信頼されて、
大きな仕事を依頼されるようになるのだ。
たとえいま、あなたの仕事が安定期に入っていたとしても、
週に1回とか月に1回とかでもいい。
定期的に新規を増やす行動をルーティーン化してほしい。
そして、じっくりと育てるお客さまを増やしたい!
おいしい実がたくさんなることをイメージしながら。