サイレントセールスブログ

営業の教え方にはコツがある(2)

営業は精神論で教えてはいけないというところの続きから。

ちなみに私は声が小さい。

講師として大勢の前で話す身でありながら、
大きな声が出せない。

ガヤガヤとうるさい店では会話にならない。

だから営業マン時代はよく「もっと大きな声でしゃべれ」と
言われていた。

そう言われると自分なりに大声を出すのだが、
まわりの人と比べると全然声が出ていない。

すると、もっと声を出せと言われる。

私も限界まで声を出す。

自分では懸命にやっている。

でも、まわりから見ると、
あいつは手を抜いているとか、
努力が足りないなどと言われてしまう。

私としては頑張っていて、
これ以上声が出ないところまでやっている。

当人は頑張っているのに、
まわりはそれを認めてくれない。

営業での精神論というのは、
これに似ている。

当人が頑張ってやっているけど、結果が出ない。

その原因は、頑張りが足りないからだと言われる。

限界までやっているのに、もっとやれと指導されるのは、
本当につらいことだ。

逆に言うと、
頑張れば結果が出るのなら、
こんなに簡単なことはない。

売れない人は、どんどん必死になっていく。

そしてその必死さが、かえって売れない要因にもなっていく。

気持ちの余裕もなくなって、
悲壮感すら漂い始める。

そんな営業マンが来たら、
お客さまは余計にシャットアウトするだろう。

だから売れない人に頑張れというのは、
逆効果なのだ。

そしてもうひとつ。

頑張るというのは、尺度がない。

数で表現できないのだ。

だから、受け手にゆだねることになって
個人差が出てしまう。

私のように自分では精いっぱい頑張っていても、
人から見るとそうでないように感じることもある。

数値に置き換えられない指示をもらって、
売り上げという数値で結果を出すのは、
個人のスキルに頼るしかない。

営業はスポーツではない。

努力して頑張って成績を上げていくものではないのだ。

いやもちろん、スポーツだって、
きちんと数値化して上達する面もあるだろう。

営業だって数値化することができる。

営業は会社の利益を任されている大事な存在だ。

それを、営業マン個人任せの指導でやるのは、
とっても危険なことである。

売れているときなら問題ないが、
売れなくなってから気づいても手遅れになる。

さらに、営業マン任せになっていると、
一部の営業マンに頼ることになる。

その人たちが一斉にやめてしまったら、
会社の存続も危なくなる。

だから優遇せざるを得ない。

そこに不公平感が生まれてしまう。

売れない人はどんどん辞めていき、
人が育たない環境になっていくのだ。

人の出入りが多い会社ほど、
人を育てる土台ができていないことが多い。

営業で売れるときというのは、
いろいろな要素が絡み合って結果が出ている。

それは数値のようにわかりやすい部分もあれば、
ニュアンスのようにわかりにくいところもある。

自分が部下を指導するときに、
このニュアンスの要素が多いかどうかをチェックしてほしい。

「頑張れ」
「もっと気合いを入れて」
「根性を出せ」

などだ。

また、天才型の上司の場合も、
このニュアンス的な指導が多くなる。

「そこはもっと踏み込め」
「自然にやればできるだろう」
「そんな当たり前のこともわからないのか」

自分では感覚的にできるのだが、
それを部下にわかりやすく説明することが苦手なタイプ。

とくに天才型の人というのは、
その言動すべてが「売る」ことにつながっている。

それは、無意識でやっていることも含まれる。

自然に、正しい営業ができてしまっているのだ。

自分では大したことをやっていないつもりでも、
じつは、それが決め手になっていることもある。

でも、無意識領域なので、
その重要性を自覚していないし人にも伝えられない。

そこが一流プレイヤーが必ずしもよい指導者になれない理由だ。

つまり、売れている人が無意識で行っていることを、
きちんと理解できれば、よい指導ができるということになる。

次回はそんな、「無意識領域」の話をしたい。