サイレントセールスブログ

営業の教え方にはコツがある(4)

天才と呼ばれる人たちは、
すごいことをごく簡単にやっているように見える。

でもそれは、単純なことで、
自分では当たり前のことでも人から見るとすごいことを
やっているに過ぎない。

営業も同じことで、
売れている人を営業の天才だと評価することは簡単である。

でもその時点で、
「彼はなぜ売れるのか?」という疑問に対する答えを
放棄しているのと同じだ。

何ごとにも原因があって結果がある。

結果を出し続けている人には、
何らかの原因があるのだ。

その原因がわかれば、
自分にも応用できるし、
人にも教えることができる。

とまあ、口で言うほど簡単なことではない。

売れている人の無意識の領域に踏み込む必要があるからだ。

売れている人のセールストークをまねすることは誰でもできる。

しかし、それを言っているときの「思考」はどんなものなのか?

何を考えて、何を重視して、どんな判断をしているのか?

そこまでをコピーできれば、
売れる営業マンになれるし、
もっというと天才と呼ばれる存在になれる。

それを私はずっと考えてきた。

売れる営業マンの思考である。

そして、ある一定の答えにたどり着いた。

(もちろん、人の考えを完璧に理解することはムリだ)

それは、そもそも自分ができないことだから見えたのかもしれない。

人付き合いが苦手で、
うまく話ができないという自分。

それができないと、
仕事も営業もできないし、
社内での人間関係もうまくいかないし、
もっというと女性とつきあうことすらできない。

だから、うまく話ができるようにならなければ!

そう思い込んでいた。

いま抱えているすべての悩みを解決するためには、
とにかくしゃべりを上手にならなければダメなんだ。

自分が前に進むために、
しゃべりの練習をしていた。

しかし、どんなに練習したところで、
そう簡単に上達するものではない。

そもそも私には子供の頃から培ってきた下地がないのだ。

頑張っても頑張っても満足する成果が出なかった。

私は「しゃべり」という手法にばかりとらわれていたのだ。

うまくしゃべれれば、仕事も恋もうまくいく。

そう短絡的に考えていた。

でも、どんなにしゃべりがうまくても、
その中身である人間がきちんとしていなければ、
仕事がうまくいくわけがない。

しゃべりがうまいだけで女性にもてることもないのだ。

それに気づいたのは、
営業で、うまくしゃべれなくても売れるという体験をしたときだ。

あれ? ヘタなしゃべりのままでも結果が出たぞ。

これはどういうことなんだろう?

もしからした、売れる秘訣というのは、
しゃべることなどの目に見えるもの以外に、
あるのではないだろうか。

もともとできなかったからこそ、
自然にできている人を観察することで、
その無意識の部分を見つけることができたのだと思っている。

ひとつの例をあげよう。

自分がお客さんとして何かの営業マンと会っているとき。

「この営業マンは、なんだか感じがいいなあ」

などと思ったことはないだろうか。

なんとなく信頼できてしまうような感覚。

言っていることが心地よく耳に入ってくる。

それは何によるものだろうか?

言葉? ふるまい? 服装?

もちろん、それらの要素も含まれるが、
それだけを真似れば誰でも同じように、
感じのいい営業マンになれるのかと言ったらノーである。

感じがいいと思うのは、
言葉を交わしたときなのだ。

一方通行にしゃべられてもそれは感じることはない。

会話というのは言葉のやり取りで、
それは、相手によって微妙に変わってくる。

同じ口調、同じテンポでしゃべっても、
当然ながら人によっては感じ方が違う。

つまり目の前の人に感じがいいと思ってもらうには、
目の前の人専用の会話が必要だということになる。

たとえ同じセリフを言ったとしても、
相手に合わせて「間」が違ったりするのだ。

ここまでの話、
ちょっと難しいかなと感じている人もいるかもしれない。

それができたら天才だよと思っている人もいるだろう。

でもね、そんなに難しいことでもない。

「思考」をコピーすればいいのだ。

いまやっていることに合わせた思考になればいい。

アイスブレイクをやっているなら、
そのときの思考に。

アイスブレイクは、相手の警戒心を取り除く作業で、
とにかく相手にたくさんしゃべってもらうことを目的にすればいい。

なのでここでの思考は、

「相手の話に集中して聞くこと」

営業マンであることも、売りたい気持ちも忘れて、
相手の話を真剣に聞くフェーズである。

この気持ちの切り替えをきちんとできるかどうかが、
売れるかどうかのポイントになる。

という感じだ。

営業でお客さまと話しているときは、
そのフェーズに合わせて思考も変えていく。

自然にできる人なら簡単なことだ。

でも自然にできない人は、意識すればいい。

アイスブレイクなら、
そのときの行動パターンを教えるのと同時に、
そのときの思考も教えることが重要だ。

それによって誰でも再現性のある「売れるアクション」ができる。

次回はもう少し掘り下げてみよう。