サイレントセールスブログ

営業の教え方にはコツがある(5)

営業を教えるときに、
トークや手法だけを教えても、
なかなか成果は出ない。

というよりも納得してくれない。

私は以前、大学生に営業を教えていたことがある。

営業職のバイトを募集して、
シロウトの彼らにゼロから営業を教えたのだ。

結果的にはひとりで売れるようになるまでになったのだが、
そのときの経験は私にとっても貴重だった。

彼らの多くは、
卒業後に就職先で営業をやることになっていた。

だからその場の仕事だけ覚えればいいなどとは思っていず、
これから先の自分の人生にも使える技術を習得したいと貪欲だったのだ。

私に向けられる質問もかなりスルドイ。

あやふやに答えようものなら、
どんどん突っ込んでくる。

なんで? どうして? のオンパレード。

しかも彼らはかなり優秀な部類に入る学生だった。

私もそれに答えるべく、あらためて勉強した。

そのときに、自分の成功体験を話すだけでは、
ダメだということを知ったのだ。

4ステップの原型である営業を分解するというのも、
そのときに考えたものだ。

人に教えて、
納得してもらい、
行動させて、
しかも成果を出してもらう。

そのためには改めて勉強が必要だと実感した。

そう、人に教えるには、
なによりも自分が学ばなければいけないのだ。

同期の人間よりもあなたが売れる営業マンだったとしたら、
そこには何かしらの理由があるはず。

どうして自分だけ売れたのか?

それを解き明かすことができると、
教える言葉にも説得力が出る。

また、質問に対して、
ダイレクトに答えようとしなくてもいい。

「どうしてもクロージングでつまずくのですが、
どうしたらいいでしょうか?」

この質問に対して、
クロージングというのはね・・・などと答えても、
あまり意味がないことが多い。

営業の場合はとくにだが、
クロージングや商品説明が下手で売れないと思っている人に限って、
本当はそれが原因ではないことが多いからだ。

足が動かくなったから、足が悪いと思っていると、
じつは心臓の病気だったりする。

(うちのネコがそうだった)

それを知らないと治療を間違えてしまうことになる。

営業も同じこと。

売れない営業マンを治療したいなら、
売れない根源を見つけなければいつまでも解決はできない。

逆にそれを一度でも理解してしまえば、
もうどんな営業でも説明できるようになる。

教える立場の人なら、ぜひその状態になってほしいものだ。

私が見ている限りでは、
売れない理由というのは、
ほんの小さなネジが1本外れているだけのことが多い。

そう、売れるようになるためには、
意外と簡単な微調整で済んだりするのだ。

売れる営業マンの行動はすべて「売る」ことにつながっている。

無駄話をしているように見えて、
すべてが機能している。

遠回りのように思えて、じつは最短距離を行っている。

そう考えて、細部まで観察してその行動の意味を探るようにしよう。

なんで、いまのタイミングでお茶を飲んだのか?

お客さまと会ったときの第一声は?

別れ際には何を意識しているのか?

あの営業を教わる大学生のように、

なんで? どうして? その理由は?

とにかくうるさいくらいに掘り下げよう。

答えがでなくても、とにかく疑問を持って考えることが大切だ。

当たり前のことに疑問を持つ。

習慣化しているものの理由を考える。

これまで説明できなかったものを意識してみる。

それだけでも教えるときの説得力が増すだろう。

ということで、このシリーズはここで終了。