サイレントセールスブログ

無敵の営業マニュアルの作り方

前回のメルマガで、営業マニュアルのことに触れたが、
わりと反響が大きかった。

とくに、シロウトでも迷わずに行えるという部分が
気に止まったようだ。

営業を部下に教える立場の人も、
自分で営業をする人も、
自社(自分)の営業スタイルが確定していれば、
迷わずに仕事ができる。

このやり方でいいんだ!というものがあると、
言動にブレがなくなるし、自信も持てる。

どんなお客さまにも迷いなく対応できるようになれば、
営業はものすごく楽しく結果を出せるはずだ。

現状、ある程度の規模の会社には、
営業マニュアルというものが存在する。

私もよく見せてもらっていた。

大手企業であるほど、分厚いマニュアルが何冊もある。

これを全部読み込んで、覚えるのは一苦労だろう。
というか、ムリに近い。

だから読むことをあきらめてしまう。

ざっと目を通す程度で、あとは自己流になる。

もちろん、間違ったことが書いてあるわけではない。

忠実にやれば、そこそこの成果は出るはずだ。

ポイントは、「そこそこ」という点である。

そもそも営業マニュアルというのは、
その会社の売れている人のやり方を手順化したものが多く、
理論に基づいているというよりは、
俗人的な手法になっていたりする。

もちろん、間違えではない。

ただ、その手法がすべての営業マンが使いこなせるかというと、
それはノーになる。

売れている人と同一人格の人なら、
それをなぞれば売れるだろう。

でも、人はそれぞれ違う個性がある。

売れている漫才師のネタを、
他の人がマルパクリしたところで、
同じ面白さにはならないのと同じだ。

売れている人は、その人なりの言い回しや間やリズムがある。

それまでも忠実にまねようとすると、
どうしても個性とのギャップが出てしまう。

そのギャップをお客さまは簡単に見抜く。

すると、

「この営業マンの言っていることはなんかウソくさいな」

「説明はうまいけど、心に残らない」

「なんかこの営業マンは信頼するまでには至らない」

素の自分を隠して演技しているように見られてしまう。

同じセリフを言っても、
受け手の印象は違ってくるのだ。

それともうひとつ。

売れている営業マンの手法をマニュアル化するときの落とし穴がある。

それは無意識の部分に関する記述だ。

自分で自分の売れる理由が明快になっているのならいいのだが、
多くの人は、正確にはわかっていない。

トップ営業と言われる人でも、そうだ。

自分で意識している箇所に関しては、
マニュアル化できるのだが、
無意識で行っていることは文章にすることができないし、
人にわかりやすく説明することもできない。

結果的に、マニュアルには無意識の部分は書かれないことになるのだが、
じつは、その無意識のところが重要なポイントだったりするのだ。

そうした言語化できない箇所はどうなるかというと、

「~の場合は、うまく判断する」

「~と言われたら、丁寧に対応する」

「~慎重に行う」

「~こころがける」

このように、各人任せの書き方になってしまうのだ。

これでは、マニュアルとは言えないだろう。

(しかし、実際にはこのような記述のマニュアルが多いのだ!)

良いマニュアルというのは、
誰が読んでも同じように伝わり、
実行できるものである。

私が考えている良いマニュアルの条件とは、

・読みやすいこと

・全体像がわかりやすいこと

・誰でもできること

まず、シンプルでページ数も少ないものでないと、
そもそも読みづらいし、読みたくもない。

そして全体像がイメージできないと、
再現性がなくなる。

営業で迷う場面のひとつは、
次にどうするかが明確になっていないことがあげられる。

お客さまの反応によって、
どうするかをいちいち迷ってしまうのは、
全体のストーリーが見えていないからだ。

その結果、話が脱線してしまう。

とくに売れずに悩んでいる人というのは、
この全体像が見えていないことが多い。

それをきちんと腹に入れておくだけで、
見違えるように変わる。

そのために、私が勧めているのは、2分冊だ。

基本の流れを示すマニュアルと、
イレギュラー対応のマニュアル。

よくある営業マニュアルが分厚い理由のひとつに、
なんでもかんでも一冊にまとめようとするというのがある。

基本の流れを説明しながら、
例外的なものなどのイレギュラーの対応まで載せてしまう。

読み手としては記述がときどき横道にそれるので、
全体像が見えにくくなる。

またそのように何でも載せてしまうことで、
優先順位がわかりにくくなっている。

優先すべきは、基本の流れだ。

まずそれをきちんと理解しておくこと。

その次に、枝葉のイレギュラー対応を憶えていく。

なので、マニュアルは二冊に分けたほうがいい。

もっと言うと、
イレギュラーへの対応というのは、
どんどん変わっていくものだ。

時代の変化や情勢の変化などによって、
新しい対応を求められることがある。

分冊しておけば、
イレギュラーの冊子に書き足せばいい。

実際に、私が作ったマニュアルも、
多いときで10版くらいまでになっていた。

マニュアルというのは、
キレイに製本して印刷してしまうよりも、
随時書き直せるようにしたほうがいい。

さらに誰でもできることが重要だ。

前回もお話ししたが、
未経験の大学生に飛び込み営業をしてもらうことを前提にすると、
当たり前のように誰でもできる手法にするしかない。

明るい人も暗い人も、
しゃべりが下手な人でもできるようにすること。

そして、基本となる流れというのは、
どんな営業でも共通のものなのだ。

それが私が定期的に行っている「4ステップ商談」というもの。

マニュアルの作成もすべてこれが基本となっている。

社内のマニュアルもそうだが、
自分マニュアルをつくるときも、
この4ステップが使える。