社長に会うというのは、
営業マンにとっては、ひとつのゴールだ。
どんな営業でも、
トップの人と会えれば話がはやい。
その場で即決することも可能だ。
それを目がけて多くの営業が殺到する。
だからこそ、
そこにたどり着くまでのハードルも必然的に高くなる。
新規でどうやって社長に会うかというのは、
多くの営業マンのテーマでもある。
ただ、前回も言ったが、
会うことだけに意識が向き過ぎているのも、
良くない傾向である。
会うのが難しい相手である。
滅多に会えない。
そんな相手にタイミングよく会えたとしても、
そのあとどうするかの準備ができていなければ、
もったいないことになる。
せっかく会えても、
その場でうまく営業ができないと、
その後のチャンスも逃してしまうだろう。
「この営業マンはダメだ」
そう思われたら二度と会ってはくれない。
だからこそ、チャンスが来たら、
高い確率で決められるようにしておくことは必須なのだ。
私もかつてはトップアプローチを心がけていた。
でも、最初のうちは偶然会えたりすると、
その場で緊張してしまい、
グダグダで終わってしまうことがよくあった。
当時は、会うことだけが目標となっており、
その後のイメージまではできていなかったのだ。
これではどんなに会うことに努力してもむくわれない。
だからまずは、合えたときに成約できる確率をあげることを考えた。
で、どうしたらいいか?
まず、相手は、
いろんな営業マンに会っているだろうし、
その分だけ営業を見る目も厳しいと考えられる。
ありふれた営業をしていては受け入れてくれないだろう。
やはりまわりの人よりも頭一つ抜ける必要が出てくる。
それは何か?
トークのうまさ。
そんなことで相手は心を許したりはしない。
むしろ、うますぎるとかえって警戒されることもある。
完璧な知識。
それも必要かもしれないが、
時間がかかる。
豊富な経験。
もちろん経験はあるに越したことはないが、
こればかりは場数を踏むしかない。
新人などではどうしようもないことだ。
そのほかにも、
話題の豊富さや、機転が利く、感が良い、
などいろんな視点がある。
そんななかで、経験も実績もなく、
トークも下手で盛り上げる会話力もない私はどうしたか?
心がけたのは素朴な質問だった。
気にとまったことや目に入ったことに対して、
素朴に疑問を持ち、それを素直に質問する。
たとえば、
「そこの本棚に歴史物が多いですが、これは社長の好みなんですか」
「以前うかがったときには気づかなかったのですが、
玄関の入り口の木は沈丁花だったんですね。いい香りですね」
「玄関の水槽にカメがいるんですね。
会社で飼っているのは珍しいですね」
こんな感じに、
その場で感じたことを聞いてみる。
すると意外なほど丁寧に対応してくれる。
私の考えはこうだ。
普通の営業マンは社長にあるというだけで、
緊張してガチガチになっているだろう。
すると、決まり文句のあいさつから始まり、
杓子定規のやり取りなることが多いと予想する。
そんなやりとりは社長としては慣れていて、
またこの感じか、と少しがっかりする。
そこを崩したかったのだ。
まずその辺の営業マンと同じじゃないよということを
アピールするためには、
ある意味で逆のことをやればいい。
みんなが緊張する場面なら、
リラックスするように心がける。
そしてリラックスしていることをどう伝えるかというと、
その場の状況を観察して質問することで、
私はまわりを落ち着いて良く見てますよ、
と暗に伝えることにした。
そしてよくあるセリフをい言わない。
「本日はお忙しいところをお時間をいただきまして・・・」
「ようやく念願かなってお会いできて光栄です」
「社長様の前だと緊張してしまいますが、できるだけ頑張りますので・・・」
など、こんなセリフは聞き飽きているはずだ。
その他大勢のひとりにはならないこと。
そこをまずは心がけるようにした。
ということで今回は病み上がりということもあって、
次回につづく。
(すみません、短くて)