サイレントセールスブログ

社長に一目おいてもらうには?(2)

ちょっと前回から間が空いてしまった。

営業マンは社長に会って営業することが、
近道であることを知っている。

しかし、それがなかなか難しい。

それでも高いハードルを抜けてようやく会えた。

ところが会うことができたとしても、
そこで自分を認めてもらうことができなければ意味がない。

なあんだ、この程度の営業マンか、
などと思われたら次はなくなる。

そこで私が心がけたのは、
いかに優秀な営業マンであることをアピールするのではなく、
(もっともそんなことはできない)
その他大勢のひとりにはならないことだった。

以前、大学病院などを相手に仕事をしていたことがあった。

教授ともなるとその影響力はとても大きい。

だからそこには営業マンも集まってくる。

教授室のドアの前には、
何人もの営業マンが並んで順番待ちをしている。

そんな光景をよく見ていた。

毎日これだけの営業を相手にするのも
大変だなあと思った。

そこで私はお決まりのセリフを使わずに、
ちょっと意外性のある切り口から入ることを心がけたのだ。

「この病院のスタッフはみなさん若いですね~」

「毎日こんなにたくさんの営業を相手にしているんですか?」

もちろん相手も忙しい人だろうから、
あまり悠長なことも言えない。

その微妙な部分に意識を集中したのである。

これがうまくいくときは、相手の表情がスッと変わっていく。

一瞬で、心のガードが下がるのがわかる。

思えば、私がアイスブレイクを深く意識し出したのは、
この頃かもしれない。

最初のやりとりがうまくいけば、
その後の会話もスムーズになることを知った。

これはのちにデザイン会社をやっていたときに、
面接をしていたときにも実感した。

1日に何人も面接するのは、本当に疲れる。

しかも、履歴書も似たり寄ったりで、
実際に会っても同じようなセリフばかり。

同じ質問に答えるのにもうんざりさせられる。

そう、同じ対応をするのは疲れるのだ。

教授もおそらくたくさんの営業マンを相手にして、
疲れもするだろう。

そんなときに、
ちょっと違った切り口の人が来ると、
とても印象に残るのだ。

社長も同じである。

たくさんの営業マン、
しかも似たような話ばかり。

そんな人に少しでもホッとする時間を与えたい。

私はそんなことを考えていた。

するとときにはこんな言い方もしたりする。

「社長、玄関の植木が枯れていましたよ」

「そのネクタイ、ちょっと若すぎるんじゃないですか(笑)」

「飲みすぎでしょ。そのお腹、ちょっとヤバイですよ」

このような憎まれ口ではないが、
他の営業マンが言わなそうなことをあえて言う。

まあもちろん
それを言って許されると判断したうえでのことだが。

でもそんな一言で形勢が大きく変わるのだ。

私が営業マン時代によく相手の社長からスカウトされていたのは、
これが原因だったのかもしれない。

相手をきちんとリスペクトしながらも、
対等の立場でふるまう。

他の営業マンとは違うところを見せる意識をする。

いかに上手に伝えるかということよりも、
自分を評価してもらうためにはどうするか。

社長は流暢な説明など聞きたくないものだ。

その場の会話のなかで自然に対応してくれる話をしたがっている。

そのためには、
いいところを見せようとか、
失敗しないように気を付けようなどど思っていると、
余計に緊張してうまくいかない。

いかにまわりの営業マンと違うか、
もっと言うと営業らしくない営業マンであるかを、
見せることが重要だ。

ある意味で、立派じゃなくてもいい。
きちんとしていなくても構わない。

よくドラマなどで
ヨレヨレの刑事がじつはすご腕だったという感じ。

私はいつもそれをイメージしている。
(だからと言って、ヨレヨレの服を着るわけではないが)

営業っぽくないかもしれないけど、
やることはきちんとやるよ。

そんな感じだ。

気持ちにゆとりを持って、
相手をよく観察して、
スルドイ雑談を心がける。

社長はそんな営業マンを望んでいるものである。